新環境クリーンセンター=ごみ焼却施設の行方
2008年 11月 20日
行政側は、新しい環境クリーンセンター(ゴミ焼却施設)の建設場所を青葉台・糀窪地区を候補地とし、議会としては、平成15年に「地元合意」を条件に、候補地での建設に合意している。
しかしそれから5年、地元の合意を得られないまま現在に至っている。
先週から今週にかけて、いくつかの動きがあったので報告します。
1つは、14日(金)の晩に開催された「新しいゴミ処理施設についての学習会」だ。
これは、焼却施設に関し、候補地となっている青葉台地区の皆さんが最も懸念しているダイオキシン問題や爆発事故問題等について、最新の安全対策などの勉強会を行いませんか?という市から地元・青葉台地区の建設反対委員会への投げ掛けに答える形で、市が主催者となり開催したものだ。
講師は、(財)日本環境衛生センターの藤吉秀昭氏だ。藤吉氏は、富士市の新しい焼却施設の機種選定委員でもあり、ごみ処理施設の専門家だ。
私は、個人的には以下の3点の説明が印象に残った。
1 ダイオキシンの体内蓄積は、特に日本人は、魚を食べることを通じての摂取・蓄積が約90%を占めており、大気や土壌を通じての摂取はごく微量である。
また全摂取量は、健康に影響を与えると考えられる量の数十分の1以下である。
更にこの10年間ほどで、廃棄物焼却施設から大気や土壌に排出されるダイオキシンの量は、その規制対策等によって数十分の1に減っている。
2 焼却施設の事故発生の可能性については、ゼロということはない。設計段階、施工段階、運転段階で「人間は失敗する」ことを前提とした事故発生予防対策、事故拡大防止対策を準備する必要がある。
3 ごみ焼却後の灰を更に減量化し、スラグとして基本的に埋立て物を出さない(スラグは土木資材等に活用可能)「溶融炉」は、この数年で、当初考えていたより、ランニングコストが相当高くなることが分かってきた。
埋立て処分場に余裕がある(海面埋め立て等)自治体では、溶融炉ではなく、これまでの主流である「ストーカ炉」を採用するところも出てきている。
講演の後、地元の皆さんから質問を受け付けたが、活発な質問が出た。しかし帰りの新幹線等の関係で全ての質問に答えることができず、中途半端な学習会に終わったことは残念だった。
そして2つめは、18日(火)に開催された議会の「ごみ処理施設建設特別委員会」だ。
私も委員として参加している。
傍聴席には、地元・青葉台地区の皆さんが多数訪れた。
行政側から、6月以降、仕切り直しの形で進めてきたとする地元との折衝の経過報告がなされた。報告結果としては、「紳士的な意見交換を行っているが、いまだ合意は得られていない。今後も粘り強く、丁寧に説明、折衝を続け、理解を得たい」とのことだった。
私は、私の考えと同様の意見を言った委員がいたため発言しなかったが、行政側と地元側の溝は深いままであり、現段階では、なかなか理解が得られる状況になっていないと考える。
何度か地元の検討委員会を傍聴したが、地元の皆さんも新しいごみ処理場の建設の必要性は認めている。
しかし、糀窪への建設の最大の反対理由は、住宅地の近くでの事故(爆発等)に関する懸念だ。そしてその懸念は、14日の学習会での「人間は失敗することを前提とした予防策が重要」との講演で、図らずもより深まってしまった感さえある。
一方で、このままの状況をいつまでも続ける訳にはいかないのも事実だ。
最終的に合意を得られたかどうかの判断をするための基準となる考え方やスケジュールを、議会としてもはっきりと考えなくてはならない時期が近づいていると考える。
by koike473 | 2008-11-20 23:48 | 環境 | Trackback | Comments(0)