第五次富士市総合計画策定にあたっての市民フォーラム
2008年 09月 07日
「総合計画の意義と住民参加のまちづくり」というタイトルで、関西学院大学大学院の稲沢教授の講演が行われた。
稲沢教授は、「地方財政」や「行政評価」を専門に研究しており、富士市の「行政経営アドバイザー」も勤めている方だ。
私は、8月に名古屋で開かれた全国の市議会議員を対象に開講された「財政」の研修で、稲沢先生の講義を聞いた。
この日(4日)は、富士市で現在取り組み始めようとしている「総合計画」をテーマにしたものであり、これに関してはどのような考えを持たれているのだろうかと、興味を持って出かけた。
ロゼの中ホールは、6分程度の入りだったが、市内各地区のまちづくり推進会議の役員の皆さん(大半が60歳以上の方々)が多数出席した。
稲沢先生は、今後10年間のまちづくりの基本となる総合計画の策定作業を、「努力すれば実現できる夢を描くこと」と位置付けた。
しかし現実には、どの市町も財政的に厳しい時代が続く。
そうした中では、「選択と集中」、つまり「あれも、これも」ではなく「あれか、これか」の選択が計画策定の中で迫られる。
選択するとしたら、何をすべきか最も知っているのは誰か?それは市民の皆さんだ。
そこに計画策定における協働作業の必要性が出てくる、と説明した。
現在、市内24地区(合併予定の富士川町も入れると26地区)で、まちづくり推進協議会が中心となり、12月までのスケジュールで、地区の「まちづくり提案書」の検討、作成を進めている。
稲沢先生は、それを念頭に置いて、地区の現状分析、今後どのような状況にしたいか、市、市民、国・県の役割分担はどうするかなど、提案書の作成=総合計画策定への参加の考え方を説明された。
私は、講演を聞いていて、今の時代に合った極めて正攻法の考え方だと思った。
それと同時に、あまりに正攻法で、また具体例の例示が少なかったので、「総合計画」そのものの内容を知らない地区の役員さん方は、どう理解されただろうか気になった。
すると案の定、講演後の質疑応答で、「先生は富士市の実情をどこまで知った上で話をしたのか?」、「我々はボランティアで地区の役をやっているが、大変でこれ以上できない」など、講演内容と180°正反対の意見が続いた。
「そうか、そう感じている人が多いのか」、「確かに、これまで考えもしたことがない作業を12月までに整理し、提案するのは大変だろうな」と、理想と現実の落差に愕然とした。
しかし会場からは、「そんなにいやなら役をやんなきゃいいじゃんか」、「やめろ、やめろ」という意見も多数上がった。
こう野次った方々が、皆さん全て前向きで、協働に当たっての役割分担等について、しっかり認識しているとは思わないが、とにかく「自分達は提案をとりまとめるぞ」という意欲を感じ、ほっとした。
現在、富士市のまちづくりの全ての基本になっている(はず?)の「第四次総合計画」の表紙
そんな思いで家に帰り、改めて配布された資料を読んで、一つ気になった点がある。
稲沢先生は、総合計画は「自治体の行政(事務事業)を総合的にまとめたもの」と書かれている。
しかし、果たしてそれだけでいいのだろうか?(これまでの時代は、それで良かったと思うが)
これだけ「住民参加」、「協働」、「市民の計画策定、実行、評価への参画」の重要性を講演の中で話され、それに対し、現実を反映したかなりギャップがある質疑応答もあった。
だからこそ、「行政の役割」だけでなく、「市民の役割」もしっかり議論し、明示した、もう一回り大きな計画とすべきではないだろうかと思うのだが。
このあたりを9月議会で一般質問してみたいと考えている。
by koike473 | 2008-09-07 22:32 | まちづくり・都市計画 | Trackback | Comments(0)