吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)

 飛び飛びで申し訳ないが、吉原商店街振興組合の視察2日目(7月16日(水))の報告。
 この日は、長野県飯田市だった。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_2294083.jpg

飯田市は「人形劇のまち」としても有名だ

 飯田市は、5月に議会で私が所属する会派で視察に行ったが、私は「悪性の風邪」で行くことができなかった街だ。
 富士市からは、直線距離では90kmだが、電車でも車でも4~6時間はかかるところで、「もう行くこともないだろうな」と思っていただけに、ラッキーだった。
 長野県の南端に位置し、浜松に流れる天竜川の中流部にある人口10万人の地方都市だ。

 視察の受入れをお願いしたのは、「㈱飯田まちづくりカンパニー」だ。タウンマネージメント吉原と同じTMOだ。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22201190.jpg

まちづくりカンパニーの事務所。昭和20年代の大火により、飯田市街地はほぼ全体が焼失したが、昔ながらの土蔵だげが残り、現在は、土蔵を活かしたまちづくりが展開されている。

 しかし、タウンマネージメント吉原が「企画調整型」、つまりハード事業は行わず、計画づくりやイベントなどのソフト事業を中心に行うのに対し、飯田まちづくりカンパニーは「事業型」、つまり行政、企業、市民などが出資してつくる第3セクターとして、再開発事業も自ら手がけていく組織という点に大きな違いがある。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22103612.jpg

 飯田まちづくりカンパニーのコンセプトは「まちづくりのマルチカンパニー」で、以下の4部門を大きな柱としている。
 ・シンクタンク部門・・・中心市街地再生の調査・研究・企画
 ・事業部門・・・自らが再開発の事業主体となる
 ・プロデューサー部門・・・民間の事業投資を支援・アドバイス
 ・直営店の出店、イベントの企画・実施など
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22105215.jpg

 説明いただいた取締役事業部長の三石氏は、たんたんと説明したが、「どうしてこの短期間にこれだけ事業化できたのか」と驚くばかりだった。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22122377.jpg

 これまでに計3棟の再開発ビルが完成し、どのビルもしっかりテナントが入っている。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22134814.jpg
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22135980.jpg

吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_2215685.jpg
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22151936.jpg

 うち2つは法定再開発だ。市役所、市立美術館、地元信用金庫本店など、確実な公的機関が床を買っている。また高層部のマンションは、前日に行った柏崎同様、飯田市で最初の都市型マンションで、ほぼ即日完売だったそうだ。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22154316.jpg

 またもう1つは、都市計画上の位置付けはないが、「優良建築物等整備事業」を活用した再開発ビルだ。公的機関はないが、民間の健康・福祉サービス企業やケア付き高齢者賃貸住宅などが入っており、これは建設前から、いわばキーテナントとして決まっていたはずだ。

 また、街を歩くと、いわゆる「空き店舗」がとても少ない印象だ。道路を通行する車や人は少ないが、中心市街地の商店街はシャッターが目立たないのだ。
 南信州・伊那谷地域の中心都市だからだろうか?
 確かに、地域の中心都市の中心市街地だから、そこに公的機関が集中し、床を買いもしただろう。
 この疑問は解けないままだ。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22164257.jpg

リンゴ並木で説明する三石氏

 三石氏は、「私たちは、ただ中心市街地活性化基本計画に沿ってそれを実行しただけです」と何の気負いも見せずに言う。
 そして、「成功事例を目の前で見た隣接街区の人達が、『今度は俺のところを』と言ってくるので、次の仕掛けを考えているところです」
 しかし、再開発全体の調整を行ったり、また再開発組合員の一人、つまり権利者の立場から意見を言うなど、実際にはかなり気を使う大変な仕事をされているはずだ。

 ㈱飯田まちづくりカンパニーの出資者は、40名だ。内訳は、飯田市30,000千円、日本政策投資銀行20,000千円、地元金融機関40,000千円、地元会社・企業88,000千円、個人29,000千円、商工会議所5,000千円、計212,000千円だ。
 専従社員は、三石氏をはじめ4名いるが、いずれもこのような仕事は初めてで、全員地元飯田市出身者だそうだ。
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22172657.jpg

土蔵を活かしたカフェや土産物店
吉原商店街振興組合で視察 飯田市(長野県)_f0141310_22173952.jpg

 わずか3時間弱の視察で、深い話を聞くことはできなかった。
 しかし、3セクの資本も地元の方々が出し、専従社員も地元の方々という、「逃げられないギリギリのところでやっている」ことが、求心性を高め、事業推進の原動力になっているのではと感じた。

 柏崎、飯田とも、その実行力に驚くばかりだった。
 しかし、こうやって自分なりに文章にまとめてみると、「よくわからない」、「もっと聞いておけば良かった」と思うことがあまりにも多いことがわかる。
 今度は、チャンスがあれば、是非、両市から講師として富士市に招き、改めて掘り下げた勉強ができればいいなと思う。

by koike473 | 2008-08-06 22:24 | まちづくり・都市計画 | Trackback | Comments(1)  

Commented by sanokumax at 2008-08-07 10:29
飯田は昨年、視察に行ってます〜。

詳しくはブログ参照で・・

南信州は飯田に行ってきた・その1(その3まであるよ)
http://sanokumax.exblog.jp/5994313


<< 富士市の財政状況は?財政研修に... 第五次総合計画策定にあたっての... >>