富士市民活動センター3周年で加藤哲夫氏の講演会
2008年 07月 21日
「NPOが紡ぐ地域力in Fuji ~あなたも市民活動を楽しみませんか!~」というタイトルで、せんだい・みやぎNPOセンター代表の加藤哲夫さんが講演した。
とにかく、「あっという間の2時間」だった。
加藤さんのことは、「仙台の市民活動センターはすごく活発で、そこにカリスマがいる」ということで以前から名前だけは聞いていた。
しかし、実際に講演が始まる前は、細身のメガネをかけた方で、どこにそんなパワーがあるのか不思議だった。
だが、話を始めると、全てご自身の経験と勉強に裏打ちされた「自信ある自分の言葉」で話され、それも全てが理路整然としていて圧倒された。
記憶に残った話をいくつか・・・。
・現代は、具体的な人間関係がない社会になっている。昔だったら、商店のおじさんが夜遅くまで店を開けていて体の具合が悪そうだったら、「どうしたの?少し休んだら?」と気にかけた。 しかし今のコンビニでは、店長や店員が睡眠不足で死にそうでも、誰も気にかけない。
人を全て単なる「受身」の「消費者」にすることが企業の戦略だ。
そこでは消費者としてのプライベートな領域だけが肥大化し、「公共心」=他者への関心と配慮の心が失われていく。
・そもそも市民活動は、「困っている現状を何とかしたい」という「私・発」の想いから始まる。
産婦人科や小児科の病院や医師が無くなる問題が多発している。そこで動き始めているのは、小さな子どもを持つ母親たちだ。自分や自分の子どもも困るが、医師の体調や労働環境、医療体制全体の問題に気付き、運動が起こっている。母親という「当事者」だからこそわかる「専門性」がキーワードだ。医師の立場だけでは絶対に変えることはできないだろう。
・「市民活動」にはいまだに偏見が多い。「好きでやっているのだろう」、「なぜボランティアなのに、お金が必要?」。こう言う人は役所の人間にも多い。これはNPO法を「特定非営利活動促進法」としたことに一つの原因がある。つまり「非営利=無償(ただ)」とのことだ。
しかし、これはあくまで「営利を求めない組織」のことであり、ただで活動を行うことではない。「役所=非営利組織」だが、ただで運営されているわけではないでしょう?職員にはしっかり給料が払われている。(この説明は「目からウロコ」だった。自分も説明するのに苦労していたが、使える!)
・特定の分野で活動するNPO(テーマコミュニティ)と、町内会などの地域組織(地縁コミュニティ)が対立の構図で説明されがちだが、決してそうではない。NPOは、その専門性や機動性を持って町内会などの「現場」で活動すべきだし、市民活動センターはその接点やバックアップの役割を果たすべきだ。
などなど・・・もっとあるのだが、きりが無くなる。
会場に訪れた皆さんからは、異口同音に「時間が短すぎた。もっと聞きたかった」、「具体的な事例をもっと聞きたかった」などの声が聞かれた。
私ももっと聞きたかったが、市民活動の基本的な考え方をとても整理して聞くことができ、気持ちが洗われ、また力をもらった気がする。
特に、NPOが町内会などと一緒に現場を持つことの重要性については、「そうだ!沼川プロジェクト」を進める上で、大きな精神的支柱になりそうだ。
また、議会においても、議員になる前に自分自身「一番やらなくては」と考えていた「市民活動を活発化するための環境整備」に取り組む重要性を再認識することができた。
蛇足だが、「NPOの活動=特定非営利活動」、「役所=非営利組織」の話から連想(?)し、「議員の活動=特定営利活動」が思い浮かんだ。
特定地域、特定分野・業界の営利(?)。地域から推薦されたのだから地域のことを一生懸命やるのは当然だ。しかしそれは、全市的に普遍的な利益につながるような説得力としくみを併せ持つような活動でなければと改めて自戒した次第だ。
加藤さんは、来年1月には、富士市(合併後だから現・富士川町も)、富士宮市、芝川町の職員研修会に1泊2日で再び富士市に来るそうだ。
研修を受ける対象層は確認しなかったが、是非、「市民活動」を真正面から勉強してほしい。
講演会の後の交流会でも「加藤節」は絶好調だった。
by koike473 | 2008-07-21 23:10 | NPO・市民活動 | Trackback | Comments(0)