6月議会一般質問の報告 その1
2008年 06月 29日
2項目質問したが、今日は1つめの「富士山麓ブナ林創造事業への取り組みについて」。
大きく、2点について質問・提案した。
1つは、「ブナ林創造事業は、広い用地を確保し、その中で計画的に取り組むべき」との提案だ。

ブナ林創造事業は、平成6年から15年間続けており、延べ8,000名以上の市民が参加して植樹を行ってきた。しかし毎年場所が変わり、そこにバスで連れて行かれ参加する市民にとっては、どこに植樹したか場所が後で確認できない。
加えて事業に参加しない一般の市民にとっては、仮に「ブナ林創造事業」は言葉で知っていても、自然林がどのように育っているのか知るすべはないのが実情だ。
そこで、「経年的に育成状況がわかり、市民が『あそこがブナ林の場所だ』と行けるような一定の場所を確保し取り組むべきだ」と質問した次第だ。
植樹場所を提供している林政課に事前にヒアリングした際には、こどもの国の県道を挟んだ南側に植えてから55年が経つヒノキ林(「杉山」という場所で、全部で40haほどある)があり、ここは今後伐採を始める予定があるので、調整次第では利用は可能。との話を聞いていた。

十里木カントリークラブから見る「杉山」。ゴルフコース向うの緑が濃い林だ。その左の草地は裾野市だ。


立派なヒノキ、スギが育ち、伐期を迎えている杉山の林。
しかし、市長の答弁は「誰もが参加できるためには、安全性の確保が第一であり、現場を確認した上で検討したい」とのことだった。

ゲートから広域林道を入り、すぐ左側一帯が「杉山」
「杉山」は、こどもの国の近くで分かりやすい上、県道富士裾野線から広域林道愛鷹線を通ればバスでのアクセスは容易だ。林道から見た限りでは、林道沿いには緩い傾斜地も多い。
是非、検討を進めてほしいとして結んだ。
2つめは、「植樹以外にも、市民が保育管理などの作業や森林見学会などに参加できるプログラムを組み込むべき」との提案だ。

現在のブナ林創造事業は、春の植樹作業のみ市民が行っている。そしてその植樹は参加者一人が2~3本植えるだけだ。時間にすれば30分以内で終わってしまう。
また、植えた後の下草刈りなどの保育作業は森林組合に委託している。
しかし、事業の目的が「森林の重要性について広く市民の意識啓発を図ること」であるなら、春の植樹時にはあと1~2時間加えて森林見学会、自然観察会を行う。夏には、植えた苗木がしっかり育つよう、植えた市民に呼びかけ下草刈りに参加してもらう等をプログラム化するべきと提案した。
だが答弁は、1つめと同様「安全性が第一であり、加えて下草刈りは重労働でありそれほどの参加が見込まれない」とのことだった。
私も、参加者数百人の全員が森林見学会に参加の意向を示すとは思わないが、事前に申し込みの際に希望を募り、植樹だけの人と、数十人の見学会に参加する人を分ければよいのでは。また下草刈りは重労働だが、森林はそのような重労働があって初めて立派に育つということを身をもって知ることが本当の意識啓発になるのではと再質問した。


私が所属するNPO法人ふじ環境倶楽部でも、この10年ほど夏の下草刈りを続けているが、狭い範囲での公募でも結構人は集まる。当初は、森林組合の皆さんに指導をいただき、保険にも必ず加入し行っている。この間、事故は1件(中学生がふざけて、カマで自分の足を切ったこと。3針位縫った。保険には入り、指導もしっかり行うが、山では「ケガは自分持ち」だ)。
しかし「安全性」、「誤伐の可能性」などを理由に、結局議論がかみ合わないまま何度かやり取りの後、検討を要望し、質問を終えた。
一般質問全体が終わり、今改めて振り返ると、この2つめの提案に関し、別の会派の先輩議員の質問でとても参考になるやり取りがあった。
議員の主張と市当局の主張が違う場合は、何度正面からぶつかっても一致することはほとんどない。議会ではなく、普通の会議の議論でもそうだが、お互い意地も張るし、そう簡単に主張は変えられない。
しかし、切り口を少し変え、相手の立場も尊重した提案なら受け入れられる場合が多い。この先輩議員の質問は、その点、現実論として次につながるという点で見事だった。
そうしたことを踏まえれば、私の2つめの質問は、2回目以降のやり取りで、「市民参加で自然林を創っていくという基本的な考え方の中で、これまでのブナ林創造事業への参加者に、他のプログラムに関する参加意向等のアンケートを行ってみてはどうか?」と提案すればよかったと思う。
これについては、今後、改めて担当課に提案してみたい。
by koike473 | 2008-06-29 22:26 | 森林づくり・林業 | Trackback | Comments(0)