「まちづくり推進会議」とまちづくり
2008年 05月 18日
会場のまちづくりセンターに行くと、5人いる今泉地区選出の市議会議員のうち、今日の出席は私を入れて2名だけで、急遽、順番で私が会議の「顧問」である市議会議員を代表してあいさつすることになった。
あわてた。
実は、私はまちづくりセンター単位に組織されている「まちづくり推進会議」の定義や位置づけを、ぼんやりとしか把握していなかったからだ。
配布資料の最後に出ている「会議設置要綱」にさっと目を通し、自分でもなんだか訳の分からないあいさつ(?)をして、とりあえず事なきを得た。
一方、総会の中では、「今のままでは、まちづくり推進会議や町内会は、単なる行政の『下請け機関』に過ぎないではないか」、「行政懇談会は、『ドブ板』の要望の場でなく、今泉地区としての目標を市の長期計画に反映させるための議論の場にすべきではないか」等の厳しい意見も出た。
家に戻り、富士市のホームページで、改めて「まちづくり推進会議」のことを確認すると、以下のように説明されている(と私なりに解釈、整理した)。
1 20年以上の歴史があり、地区像を具現化していくための住民側の組織
・昭和59年に、富士市の第二次総合計画(「ふじ21世紀プラン」)を策定する際に、地区ごとに組織された
・総合計画の地区別計画に位置づける「地区像」を検討するとともに、その地区像を実現するために、市・県への地区としての要望、市民本位のまちづくりのための障害の解決策の実践などを行う
2 会議(組織)は、住民側と地区に住む職員によって構成される
・住民側は、町内会、生涯学習推進会、女性の会、小中学校、PTA、子ども会など地区内の既存団体で組織する
・地区内に住む市職員は、まちづくり協力員として、地区住民と行政を結ぶパイプ役となり、また住民の要望を行政の課題としていくオピニオンリーダー(専門指導者)としての役割を持つ
・この市職員組織は、地区内に住む部課長等を班長に、「まちづくり地区担当班」として組織する
3 事務局は、地区まちづくりセンターが担う
・20年度から公民館から移行した「地区まちづくりセンター」は、地区住民に一番身近な「ミニ市役所」、「地区住民のサポートセンター」として、地区住民と市役所とのパイプ約を務め、様々な要望や相談に対応し、地区住民の主体的なまちづくりの支援を行っていく
また、各地区の「まちづくり推進会議」が、具体的にどのような活動を行っているかと言うと、
・地区らしさを前面に出した「まつり」(サクラ祭り、夏祭り、善得寺祭りなど)
・安全・安心活動(防犯教室、パレード、交通安全指導など)
・レクリエーション活動(ウォーキング、グラウンドゴルフ、コンサートなど)
・清掃・美化活動(クリーン作戦、草刈り、植樹など)
・行政懇談会(市長をはじめとする行政側との意見交換、要望、提案など)
が、ほぼ全地区で行われている。
今泉地区で毎年行われる「善得寺まつり」
更に、特徴的な活動として、
・地区まちづくり計画の策定(元吉原地区で18~19年度)
・地区広報紙の発行(天間地区で年に4回)
などがある。
こう整理してみると、私なりに2つの課題を感じる。
1つは、各地区の「目指す地区像」が明確であるか、また住民の皆さんに共有されているかだ。
目指す地区像とは、何年か先には「こんな地区になっていたい」という大きな目標だ。地区像を明確にするには、その地区らしさや、らしさに重点を置いた具体的な取り組みについての議論が必要だ。
「向う10年間は、今泉らしい歴史に焦点を当て、皆でそれを学習し、誇りを持てるようにしよう」、「住んでいる人、皆の顔がわかり、気軽に交流できる地区にするために、皆が集まれる○○川沿いのサクラ並木を育てよう」
そんな議論の中から、地区像(目標)と、実現するための取り組み(手段)が明らかになるはずだ。
そうした意味では、元吉原地区が18~19年度で取り組んだ「地区まちづくり計画の策定」は、とても意義あることだったのではないだろうか。
2つ目は、「まちづくり地区担当班」との連携だ。
私はこれまで、地区に住む市職員が、このように明確に位置づけられ、組織化されているとは思っていなかった。
と感じるということは、実際にはおそらく活発な活動はしていなかったのではないだろうか。
確かに、プロとしての役所の仕事を進める上で、市民からの様々な要望を受ける場面が多いのに加え、更に、自分が住む地区で改めて役所とのパイプ役を務めるのは、やりにくい面もあるはずだ。
しかし、役所の職員だからこそ気がつき、一声で情報を伝達できたり、専門的なアドバイスができる場面も多い。
この日の総会の中で、第5次総合計画策定に向けて、各地区の声を十分に反映した計画にしていきたいと担当の企画課から説明があった。また4月から、公民館が「ミニ市役所」を目指すべく「地区まちづくりセンター」になった。
これらを契機に、是非、私が感じた2つの課題を解消し、目標を共有した地区のまちづくりが進められればと思う。
by koike473 | 2008-05-18 17:49 | まちづくり・都市計画 | Trackback | Comments(0)