富士山と道風景フォーラム
2007年 12月 14日


私は、パネルディスカッションのパネラーとして参加した。
主催は、フォーラム実行委員会と静岡県だ。実行委員会の主要なメンバーが、私が所属しているNPO地域づくりサポートネットのメンバーであることもあり、パネラーを依頼された。

サブタイトルには「地域の道風景から考える『富士山世界遺産』」とあり、富士山の世界遺産登録を推進している静岡県県民部部長も訪れた。

基調講演は、東京工業大学名誉教授の中村良夫氏(上の写真)が、「富士山文化と祈りの道風景・暮らしの道風景」をテーマに話された。
講演やパネルディスカッションでのお話の骨子は、
・世界遺産は、人類の宝であり、世界に共通の普遍的価値を持つもの
・富士山の文化的価値は、「山岳信仰」に代表される「山の環境を守りながら生きる喜び=環境文化、環境共生思想」であり、外国にはない価値だ
・「風景街道」は、2つの狙い・考え方があり、美しい風景を楽しみに訪れる人々により①観光交流が進み地域経済活性化につなげる、②観光客の眼により文化的効果が高まる
・これからの観光地づくりは「住んで良し、訪れて良し」の、まちづくり型でなければ成功しない
・そうした意味では、「まちづくり」は物の生産ではなく文化創造であり、「命がけの道楽」だ
・富士山周辺では、美しい富士山の風景を背景にしたまち(=人工物)をつくっていただきたい

江戸のまちの俯瞰図。中村先生は「江戸のまちからは富士山がどう見えるかが重要だった」
実は私は、学生時代に中村先生の集中講義を受けたことがある。今から25年位前だ。
新進気鋭の先生で、「風景学入門」という新書を出版されたばかりだった。その時も日本人の歴史的な自然観や日本庭園にみる風景の構成のような話だった気がする。
また、提出のレポートがギリギリまでかかり、締切日当日に東京工大まで持参して提出に行った。
そんなことを思い出しながらお話を聞いた。
後半のパネルディスカッションは、4人のパネラーに、中村先生と室谷氏(三重県まちづくり公社)が入られた。
パネラーは、皆それぞれの立場で、「富士山への思い」、「世界遺産への取り組みを見据えた道風景の守り方、活かし方」を述べるはずだった。
私は2回の発言で、
・(ふじ環境倶楽部理事の立場で)地下水の保全とそのための山麓の森づくり、自然体験
・富士山百景と、市民による富士山のビューポイントや生活空間の磨き上げ(景観づくり)
・これからの観光交流振興に向けた「環(ぐるり)富士山」をコンセプトとする富士山観光交流ビューローの立ち上げと広域連携
について話をした。
しかし、6名で1時間30分はきつかった。
本当は、「富士市の祈りの道」に関連し、富士市の竹採物語に出てくるかぐや姫の話もしたかった。
かぐや姫が、富士山に昇って行ったという「見返り坂」、「囲いの道」などと、このような「精神の道」の「いわれ」を活かした道と道風景づくりの提案だ。
また、元吉原の富士塚から村山古道に到る古い富士山登山道の復活などだ。
パネルディスカッションの写真は、自分がステージに上がっていたのでありません。
もしよろしかったら、本日の静岡新聞朝刊23面をご覧下さい。写真の右端でマイクを持っているのが私です。
by koike473 | 2007-12-14 00:04 | 視察・研修・勉強会 | Trackback | Comments(2)

私も参加しましたが、今回はあまりいい集まりとはいえませんでした。
「祈りの道」というのにひかれて行きましたが、
地元の自分たちの知見を開くような新しい話はなかったし、
紀伊の取組ももう少し踏み込んだものを説明してもらいたかったものです。
パネルディスカッションも個性的でそれぞれ魅力的なメンバーが
そろっていましたが、とりあえず自分の活動と思いを短い時間の中で説明するのに汲々としていて、議論の継続、かみ合うものがなかったのも残念でした。小池さんもとりあえず富士市の宣伝をすることはできましたが、全体の雰囲気からすると唐突で違和感がありました。順番的にはファシリテーターの投げかけに答えてから自然につなげたほうが良かったと思いますぞ。
