田子の浦港のしゅんせつ土のセメント固化試験
2007年 11月 18日
試験工事会場に集まった地元等の皆さん
少し背景的な話をすると以下の通りだ。
田子の浦港には、潤井川、沼川という大きな2本の川が流れ込んでいる。
潤井川は富士山の大沢崩れ、沼川は富士山より古い時代にできた愛鷹山から崩れたり、流れ出る土砂を運び出している。そしてそれがもともと2本の川の河口部を内陸側に掘り込む形で造った田子の浦港に込んでいる。
このため田子の浦港は、永久に常に土砂をしゅんせつしなければならない港である。
また近年は、工業都市として各種産業を支える上では、より大型の貨物船が接岸できるように-12mの水深が確保された岸壁が求められている。そのためにも港内土砂のしゅんせつが急務となっている。
一方、港の東側の鈴川海岸は、
・田子の浦港ができたこと等により、富士川からの砂の供給が少なくなり、砂浜が削られほとんどない
・現在、砂を埋立ててできた砂山公園があるが、大地震の際には液状化が予想され、堤防を含めた安全対策が懸念されている
ことから、田子の浦港のしゅんせつ土を
・砂利や砂は、鈴川海岸の養浜に使う
・シルト(粒子が細かな粘土分)は、砂山公園の下に埋められた砂と入れ替え、更に海側にまで埋立て幅を広げ、セメントで固化し、コンクリート堤防と一体となった土の堤防を築き、防災対策に寄与する
・更に、広い堤防の上は、公園として整備する
ということを県、市は考えている。
また、地元である元吉原地区連合町内会も、この埋立て、堤防補強、公園整備を要望してきた。
現在の砂山公園
だが一つ、大きな課題がある。田子の浦港内の土砂にダイオキシンが含まれていることだ。これは、これまでの富士市の作業活動の結果溜まったものと推察されている。
これに対し、ダイオキシンによる地域への影響を心配する地元の方々7名が発起人となり、地元の一部の方々1,800名以上の署名を添えて、「しゅんせつ土の埋立て工事反対」の要望書を、11月2日に市、市議会に提出した。
こんな流れの中での昨日のセメント固化試験だった。
・ダイオキシンは、シルト分に吸着されており、水に溶けない性質のため、シルト分をセメントで固化することにより、永久に埋立地内に封じ込める。
・埋立てに使用する土砂は、ダイオキシンの濃度が、環境基準以下の土砂のみをしゅんせつし埋立てる。
等の説明の後、試験工事が行われた。
右が水分を含んだシルト。左が水分を絞ったシルト
シルトとセメントを混ぜたものの撒き出し作業
締め固め作業
締め固めたシルト。セメントが固まるには1~4週間かかるので、すぐに工事の結果はわからない
私は、
・ダイオキシンの濃度が低い上、セメント固化により、周囲に飛んだり、漏れ出す危険性はとても低い
・埋立て予定地は海岸沿いであり、水源地帯の上ではない
・埋立てにより、高波等の災害に対する安全性が高まる
などの理由から、できればしゅんせつ土は入れたくないが、このようなしっかりした処理のもとでの埋立てには賛成だ。
しかし私も、説明を聞いている限りでは、「なぜシルトだけに吸着するのか」、「水の中に溶けなくとも、漂うことはないのか」よくわからなかった。
ダイオキシンの性質と、それに対応した一連の固化作業工程(上記下線部)について、もう少し、わかりやすく、ていねいな説明が必要だと思った。
同じような工法で造成された、港の西側の田子浦地区に位置する「富士緑地」(写真中央のコンクリートブロックで囲まれた高台部分)
by koike473 | 2007-11-18 22:19 | 環境 | Trackback | Comments(0)