PFI
2007年 08月 02日
浦安は、もともと東京湾に面した漁村だったのが、大規模な海の埋め立てと都心へのアクセスの良さ(東京駅まで15分)で、市制を布いた昭和56年からの25年間で、人口が6万人から16万人に増えた市だ。
私は、ちょうど市制を布いた頃学生で、隣の市川市に住んでいて、「浦安町が市になった」というニュースを覚えている。当時は、「ディズニーランドなんて、開園してもろくに人は入らず、もともとただ同然だった埋立地をうまく売り切った(確か)オリエンタルランド(?)の作戦勝ちだよ」なんて周りでは言ってたけど・・・。
この浦安は、首都圏に住む若い夫婦が住みたい街NO1で、特に高層マンションが立ち並ぶ「新浦安駅」周辺に住む奥様は「マリナーゼ」と呼ばれ、「シロガネーゼ」(白金在住)、「アシャレーヌ」(芦屋在住)と並び称されているそうだ。

「浦安市市勢要覧2007」から転載
前置きが長くなったが、この新浦安駅前に18年4月にオープンした複合型市民サービスセンター(通称「マーレ」)を視察した。


マーレには、
・行政サービス施設(各種証明書、図書館窓口、国際センター、在宅介護支援センターなど)
・子育て支援施設(保育園、子育て支援センターなど)
・自転車駐輪場
・市民交流施設(カルチャープラザ、音楽スタジオなど)
が入っており、まさしく「若い共働き夫婦」をターゲットにした施設だ。

各種証明書を取れる市役所窓口

保育園の手洗い場

機械式駐輪施設入り口

自走式駐輪場のラック

屋上の風力発電施設
そしてこのマーレは、「PFI」と呼ばれる民間活力をうまく使った手法で建設・運営を行っている。通常このような公共性が高い施設は、市が計画、設計、建設、運営を行うが、「PFI」は、その全てを民間企業が行い、市はその「サービスをお金で購入する」という方式だ。代金は、建設工事費26億円、オープン後20年間の運営・管理費39億円、計65億円(22年間の分割払い)。市が全て行った場合と比べると約5%安くなるという試算に基づいているそうだ。
「PFI」の場合、事業を請け負うのは「SPC」と呼ばれる特別目的会社で、マーレは西松建設(建設工事)、イオンデイライト(建物管理)、ダイフク(駐車場管理)、ポピンズコーポレーション(保育園運営)、カルチャー(市民交流施設運営)などから成るいわゆる共同企業体だ。
会派の先輩議員からは「富士市も、今建設している富士駅北口の『市民交流プラザ』や新富士駅北側の『富士山メッセ』(産業展示館)もPFIでやればよかったのでは?」との声もあった。
ただ、浦安市の担当の方の話では、「景気が今より悪い3~4年前だったからこそできた」という側面もあったとのこと。と言うのは
・公共事業が今より少なかったので、SPCの中心となる建設会社は、かなりの営業努力で関連企業を集め提案を競った。しかし、今は結構建設工事が増えているのでどうか?
・PFIが広まり始めた初期の頃だったので、どの建設会社も実績作りのためにかなりがんばったが、PFIの提案作成そのものが、かなりの労力を要するため今多くの企業が手を上げるかどうか?
とのことだった。
しかし一番大事なのは、コスト以上に、「満足できる市民サービス」が得られるかどうかだ。ハードの建設・維持管理ばかりに目が行きがちだが、この市民サービスの観点からの評価をどう行っていくかが重要だと強く感じた。
by koike473 | 2007-08-02 01:06 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)