「富士市CNFプラットフォーム設立記念セミナー」で感じた真に地域産業に必要な高等教育機関 ~愛媛大学紙産業イノベーションセンターの取組みから~
2019年 11月 04日
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1日(金)は、午後から「富士市CNFプラットフォーム設立記念セミナー」に参加した。
「富士市CNFプラットフォーム」は、CNFの用途開発を加速化し、その実用化・普及を図り、CNF関連市場の創出を図る企業等を中心とする推進組織だ。
ポイントは、地元の中小企業の皆さんが、CNFについて「知る場」、「触れる・作る場」、「つばがる場・実施の場」だ。
市から本日付(11月1日)で設立されたプラットフォームの概要報告の後、基調講演が行われた。
愛媛大学の内村浩美教授による「愛媛大学紙産業イノベーションセンターの取組み ~地域に根ざした産学官連携とCNF推進体制の構築~」だ。
この講演がとても刺激的だった。
富士市と並ぶ紙産業都市・四国中央市は、平成20年に四国中央商工会議所とともに、「紙産業大学院設立の要望書」を愛媛大学に提出したそうだ。
紙産業の将来に対応するためには、地域企業の将来の幹部としての人材養成・研究開発機能の強化が必要との考えからだ。
受け手の愛媛大学は、大学を挙げて地域の諸問題に取り組んでおり、2年前の平成18年に四国中央市にサテライトを設置していたという背景もある。
平成22年に着任した内村教授は、地域の方々(紙産業界、市民等)との信頼関係を築くためには「優秀な卒業生を地元企業に供給=就職させる」ことを基本に、バリバリと取り組んだ。
技術だけでなく、経営や現場に密着した実践教育に重点を置き、「紙産業界の幹部候補生を育てる」というのが明確な目標だ。
その目標に沿った綿密なプログラム。
そして現場に出ての体験、製造実習。
中でも「愛媛大学のロゴが入った封筒」を作る製品製造実習の話は、大変興味深かった。
仕様を決定し、試作し、パイロットマシンを使い紙を抄いていく。
できた紙を封筒に加工するには、加工会社に外注するが、その調整能力が重要だ。
そうした場面でプレゼンやコミュニケーション能力が鍛えられる。
当初は、地元の産業団体代表や有力者の方々から「どうせ3年もすれば潰れるだろう」と冷たく言われていたが、今ではその皆さんが最大の応援団になってくれているとの裏話もあった。
そんな経緯を経て、平成26年には「紙産業イノベーションセンター」が、28年には社会共創学部「紙産業コース」が開設され、愛媛大学の「紙産業」を中心とする学部→大学院→イノベーションセンターが四国中央市を拠点に活動を展開している。
内村教授の締めくくりが、この究め付けの画面!
その後はパネルディスカッション。
2年前に静岡大学に着任した農学部ふじのくにCNF寄付講座の青木憲治特任教授。
県富士工業技術支援センターに今年5月に開設された「静岡大学CNFサテライトオフィス」を拠点に、開発支援に取り組んでいる。
富士市でのCNF開発・実用化支援を拡大するには、愛媛大学に例に習うなら、今、この段階で富士市と富士商工会議所、富士市商工会等が足並みをそろえ、静岡大学にCNF大学院設立の要望書を提出すべきでは?
大学院「CNF産業特別コース」、CNF産業イノベーションセンター、そして既存の地域創造学環に「CNF関連産業コース」の設置等々。
これこそ、富士市が必要とする高等教育機関だと思う。
本セミナーが開かれた1日(金)は、富士商工会議所の正副会頭を選出する臨時議員総会があり、会議所関係者(地元企業関係者)の方々は、セミナーに参加されていないようだった。
産業界等の皆様には、是非、内村教授の講演ビデオをご覧いただければと思う。
by koike473 | 2019-11-04 23:25 | Trackback | Comments(0)