働きづらい人に農業を通じて就農・就労を支援する「ホームレス農園」 NPO「農スクール」の取組み
2018年 01月 22日
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今日は、先日少し書いたが、ユニバーサル就労議員連盟(議連)で視察した「NPO法人 農スクール」(藤沢市)の話。
農スクールの代表は、小島希世子さんという若い女性だ。
熊本県の農村地帯で生まれ育ち、子どもの頃から「農家になる」ことが目標だったそうだ。
慶応大学環境情報学部を卒業し、農業関連の会社に勤務、その後、市民と農業・農産品をつなぐ会社を立上げ、2013年からNPO法人「農スクール」を創設した。
農スクールは、生活保護受給者、障害者、ニート・引きこもり等、働きづらい人に対し、農業体験を通じて就労、就農の後押しをしている法人だ。
小島さんは、まず働きづらい人が働き始める前提として、自分自身が「自信を持つ」上で、農業の3つのメリットを話してくれた。
1 成功体験の繰り返しを体験できる…「種→苗→作物→収穫」
2 人間以外の生き物に出会う…「植物はたんたんと生きていているがそれでいい」
3 青空の下での共同作業…気分も晴れるし、横並びで作業するので「顔を合わせずに話しやすい、居場所ができる」
農スクールでは、3ヶ月を1クールとして、年に3クールで構成する年間プログラムが基本だそうだ。
農業は、播種→育苗→定植→防除→・・・とさまざまな系統の業務から成り立っているので、受講生に応じて系統別業務を組み合わせてプログラムを構築している。
またそれぞれのプログラムに対し、自分自身で振り返る「ワークシート」の記入と、その分析によりプログラムの改善・改築につなげているそうだ。
説明の後、農スクールの現場…「ホームレス農園」を案内していただいた。
別途に小島さんが経営する「㈱えと菜園」の農場「コトモファーム」の一角だ。
この時期(冬)は3クール目で、農スクールの参加者は就職準備の段階で農作業は行っていない。
小島さんが言うには「働きづらい人は、得意・不得意がはっきりしている人なので、農業の中では必ず得意分野がある」とのこと。
これまで72人が農スクールに通い、31名が就職。うち42%が農業に、それ以外は建設業、清掃業、サービス業等だそうだ。
農スクールが、決して「農業だけ」でなく、自分の得意分野や志向をみつめる場になった証でもあると思う。
それともう一つ、「生活保護者だけ、障害を持つ人だけでなく、誰でも、いろいろな人が参加できるのが良いと思います。自分だけが『できない』、『不幸なんだ』とは感じなくなるから」とのこと。
農スクールでは、藤沢市の農園に来園する形(来園型)以外に、現地(例えば富士市)にトレーナーを派遣し、そこでスクールを開講・運営する「出張型」も行っている。
緻密にプログラムされたこの「農スクール」の就農・就労支援プログラムについて、議連でもさらに研究・検討してみたい。
by koike473 | 2018-01-22 08:46 | ユニバーサル就労 | Trackback | Comments(0)