鹿沼市(栃木県)の「官民連携による下水道汚泥を活用した創エネルギー・廃棄物処理事業」
2017年 04月 28日

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今日は、25日(火)に視察した鹿沼市(栃木県)の話。
鹿沼市には、「民設民営の下水道消化ガス発電」をテーマに伺った。

場所は、鹿沼市の市街地の下水(計画人口58,000人)を処理する黒川終末処理場。


これまでは、処理場で発生する汚泥については、そこから発生するメタンガス(50,000トン/月)を、消化槽を温めメタン菌が活動しやすい36℃に保つよう、ボイラー燃料に3~4割を活用するだけで、残りは燃焼させるだけだった。

それを今回、民間活力(月島機械さん)を導入し、メタンガスを燃料に発電し、その排熱を消化槽の加温に活用する形(=バイオガスエンジンコージェネレーション)とした。

発電施設の建設・運営は、全て月島機械の資金(建設で2~3億円)で行い、鹿沼市はメタンガスを供給するだけで税金は投入していない。



平成27年6月から発電を開始している。
また発電による売電収入(固定価格買取制度(FIT)の活用:39円/kWh)の15%は、分配金として鹿沼市に入る協定を交わし、28年度は約6,900千円が市の収入になったそうだ。

この金額は、黒川処理場の1ヶ月分の電気代に相当する。
更に、月島機械のグループ会社であるサンエコサーマル㈱が、市の給食センターから食品残渣を収集運搬・処理場へ投入(50トン/年)し、地域の未利用バイオマスの活用も始めている。

加えて、視察前は知らなかった「B-DASHプロジェクト」も進んでいる。


これは国交省の下水道革新的技術実証事業で、全額(6億円)国からの委託事業として行われているものだ。

奥に見える建物で処理した従来の含水率80%の汚泥を、手前のピカピカの施設(28年度の実証事業で建設)で脱水乾燥させる。


これにより含水率を20%まで落とすことができる。


それらは肥料や発電燃料として活用を目指しており、本年度からその効果の具体的な測定等が始まる。

この取組みは、政令市のような大規模処理場では従来からスケールを活かして可能であったが、今回は中小規模の処理場でも可能なシステムの実証実験になるとのことだ。
一連の流れで見ると、汚泥+食品残渣からのメタンガス発電、肥料化、燃料化により、余すところなくバイオマスを活用しようとする取り組みだ。
富士市では、この2~3年で、下水道処理場を屋根貸し(民活)する形で「太陽光発電」による再生エネルギー創出に取り組んできた。
今後は、鹿沼市等の事例を参考に、発生する汚泥の有効活用に向けた取り組みを提案したいし、期待したい。
by koike473 | 2017-04-28 08:20 | Trackback | Comments(0)