富士市でも検討が必要 建設水道委員会で沼津市の「市営住宅への民間活力導入」を視察

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 今日のブログは、少し前になるが、13日に出かけた沼津市の市営住宅視察の話。

 本年度、富士市住宅マスタープランの改訂作業が進んでいるが、その中では市営住宅の更新整備に当たり「民間活力の導入」を目指すことが示されている。
 現在私が委員長を務める議会の建設水道委員会で報告を受けている。

 そんな中、お隣の沼津市では、早くから市営住宅整備に関し、借上げ型方式やPFI方式等の民間活力導入に取組んでいるため、委員会メンバーでその成果と課題について視察し、今後の富士市の市営住宅のあり方の参考にすることとした。

 久しぶりに行った沼津市役所。
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 私は社会人になり最初に勤めた会社が沼津にあり、その頃は仕事でよく出入りした。
 「コウカのあるマチ」
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 「燦々ぬまづ大使」を務めるトレンディエンジェルとスリーショット。
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 会議室でヒアリング。
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 以下は視察報告書ですが、良かったらお目通し下さい。

(1)沼津市営住宅等長寿命化計画
  ・厳しい財政状況下において、更新期を迎えつつある老朽化した住宅ストックの活用と、効率的かつ円滑な更新を行うことを目的に、平成14年度に「沼津市住宅ストック総合活用計画」を策定した。
  ・更にこの計画の見直し・更新を進め、ライフサイクルコスト縮減の観点から住宅ストックの長寿命化を図ることを主眼とした「沼津市営住宅等長寿命化計画」を平成23年度に策定した。
  ・長寿命化計画の中では、市営住宅の需要を的確に把握し、長寿命化(予防保全的な修繕、改善)、建替え、借上げ等により、適切な供給量・管理戸数の確保を目指している。
  ・計画前後のライフサイクルコストを比較すると、年間維持管理費が60,300千円縮減されると想定されている。

(2)沼津市借上げ型公営住宅制度
  ・この制度は、平成8年に公営住宅法の改正により可能となった借上げ方式を活用したもので、「民間の土地所有者(事業者)の方が新築する賃貸住宅を、沼津市が20年間にわたり公営住宅として借上げ、建設費の一部についても補助を行う」制度である。
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  ・現在、市内に10棟、150戸の借上げ住宅がある。
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  ・老朽化した市営住宅を更新する際に、該当地区内で事業者を募集する方式をとっており、特に市街地への誘導等を目指していることはない
  ・民間事業者にとってのメリットは、
    ・20年間安定した家賃収入が得られる(近傍同種家賃を上限、全戸借上げのため空き部屋の心配不要)
    ・建設費の補助がある(住宅共用部分、共同施設が対象で全建設費の1割程度になる)
    ・管理の手間が軽減される(入退居に伴う事務は市が行う)

  ・市にとってのメリットは、
    ・財政負担を減らす(特に初期コストが軽減される。またトータルで見ても20年までの借上げならメリットがあるが、それ以上では直営方式の方が良い見通し)

  ・県内では、沼津市のほかに、静岡県、藤枝市がこの方式を導入している。
  ・平成21年に、中古の借上げ住宅制度が法改正で可能となった。
  ・横浜市、座間市、伊丹市等で導入実績があり、現在沼津市でも導入について研究を進めており、28年度中の条例化を検討している。

(3)PFI方式による市営住宅整備事業
  ・駅北にある自由ヶ丘団地は、昭和44~47年に建設された団地で、老朽化、耐震性等の面から建替えが必要だった。
  ・平成14年に策定した「沼津市住宅ストック総合活用計画」に基づき、平成16年度に「PFI導入可能性調査」を行ったところ、VFM(市が直営で行うより、PFI事業で行った方がどの程度メリットがあるか)が8%と算定されたため取る組むことを決定した。
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  ・具体的には「BTO方式」と言われる事業方式で、
    ・民間事業者が、既存建物の解体除却、新建物の設計・建設・工事監理を行い、完成した施設を沼津市が買い取る
    ・その後、20年間、民間事業者が維持管理業務を行う
  ・事業者選定に当たっては、3社(グループ)から提案があり、地元企業の参画で構成する沼津自由ヶ丘PFI㈱が選定された
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  ・提案価格のVFMは18.6%であり、最終的な当初契約事業費は30億1千万円(税抜き)だった。
  ・平成18年度から事業に着手し、平成20年度から22年度までに3棟を改築し、入居した。
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  ・基本的に以前の入居者はそのまま「戻り入居」している。
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  ・バリアフリー(車椅子利用、エレベーターの設置等)、コミュニティスペースの確保等、さまざまな配慮が目立つ。
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  ・場所も沼津駅に近く、退所者が出た場合の抽選倍率は100倍にもなっている。
  ・一方、敷地内には、耐震性がある旧住宅が2棟残っており、見た目にも歴然とした差がある。
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  ・維持管理については、基本的には毎月の月例会(市とPFI㈱)で、「通常報告書」に法定点検等の結果をとりまとめ、それに基づき修繕等の実施について調整している。
  ・それ以外に入居者からの要請・苦情等に対しては、24時間オンラインでPFI㈱が対応している。
  ・課題として、
    ・修繕工事は市が行う(発注する)が、元の工事の仕様が他の市営住宅と異なるため、住宅営繕課が戸惑うことが多い
    ・今後、設備等の更新工事が見込まれる。建設・法定点検を行っているPFI㈱にやってもらうのが合理的だが、工事規模(金額)によっては、そうもいかず、歯がゆい等
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 富士市でも、市営住宅への「民間活力の導入」を、短期・長期的なメリット、デメリットを踏まえ、検討する必要性を実感した。

by koike473 | 2016-01-28 08:26 | Trackback | Comments(0)  

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