一宮市の「市民が選ぶ市民活動支援制度」、通称「1%支援制度」を視察して

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 今日で9月も最後。
 朝晩はすっかり涼しくなった。
 1ヶ月以上経ってしまったが、8月に会派・ふじ21で視察した一宮市(愛知県)の報告。

 制度の前に、ヒアリング会場となったJR一宮駅前にある複合ビル(通称「i-ビル」)。
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 一宮市は、一宮駅を中心に街が形成されており、ここに様々な公共施設が入っていて、使い勝手がよさそうだ。
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 視察テーマは「市民が選ぶ市民活動支援制度」、いわゆる「1%支援制度」だ。
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 これは、私が平成20年11月と21年11月の定例会一般質問で、2回提案した制度だ。
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 その際、21年1月には、この制度に初めて取り組んだ当時の一宮市に個人的に視察に出かけた(詳しくは、この視察のことを書いたブログ その1その2をご覧ください)。

1 制度導入の経緯
 ・前市長の平成18年選挙の際のマニュフェストで「市民税の1%を市民活動の財源に」とされた
 ・一方、市政アンケートでは市民活動に対する関心の低さが際立っていた
 ・市川市(千葉県)で既に運用されていたいわゆる「1%支援制度」に近い形であれば、1票を投じることで容易に市民活動に関わることができ、それまで市民活動に無関心だった層を巻き込むことができると判断し、導入を決めた
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2 制度の概要
①支援金を申請できる事業
 ・市民による自主的・日鋭利な団体が、主として一宮市民を対象とする社会貢献的な事業
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②支援金の対象となる事業費
 ・報償費、旅費、需用費、役務費及び使用料並びに備品費、人件費及び賃借料のう ち一定の要件を満たすもので、全事業費の2/3

③投票することができる市民
 ・18歳以上の市民

④市民一人当たりの支援額
 ・一宮市の個人市民税額の1%相当額を、18歳以上の市民の数で除した金額
 ・平成26年度は622円(過去7年間で平均614円)
 ・支援したい団体が複数ある場合は、3団体まで選ぶことができ、2団体の場合はそ れぞれ1/2、3団体の場合はそれぞれ1/3の金額が支援される
 ・支援したい団体がない場合は、一宮市市民活動支援基金に積み立てることができ る(26年度末で約25,000千円の積立)
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⑤投票の方法
 ・窓口(市内13ヶ所)持参、郵送、インターネット送信のいずれか
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3 事業の成果
①投票率
 ・10.9%(同様の制度に取組んでいる国内他市(7市)は1.8~9.3%であり、一宮市が最も高い)

②事業への支援額
 ・最多が1,700千円(スポーツ団体)、最少が22千円、平均で約300千円

③エントリー団体からの声
 ・投票制度を通じて団体の活動を知り、メンバーとして参加する人が増えた等の意見がある

④市民アンケートからの成果と課題
 ・市民には概ね肯定的に受け止められていると判断
 ・「この制度をどう思うか?」に対し、「良い」、「どちらかと言えば良い」が40.9%、「良くない」、「どちらかと言えば良くない」が6.5%、「わからない」が47.9%
 ・「この制度をどう運用していくべきか?」に対し、「現行のまま」、「改善すべき点は改善」が53.9%、「廃止した方がいい」が3.0%、「わからない」が39.4%

私は、以下の点で多くのメリットがある制度だと思っている。
1 市民にとってのメリット
 ・「自分が払った市民税の1%は、その使途を自分で決められる」と投げかけることで、これまで市民団体やその活動を知らなかった皆さんの関心や理解が高まる
 ・市民活動が活発化することにより、行政では手が届かない、きめ細かなサービスがこれまで以上に市民に提供される
 ・公開された手続きの中で補助金が執行されるため、市民団体が行う事業を見たり、参加することを通じて、市民の目で税金の使い方をチェックできる

2 市民団体側にとってのメリット
 ・市民に投票してもらうためには、改めて団体と当該事業のミッション(使命)を整理し、わかりやすく伝える必要があるが、そうした作業そのものが団体のあり方を振り返り、事業の改善につながる
 ・市民に知ってもらうことを通じて、事業への参加、団体へのメンバーとしての参加等が拡がる
 ・補助金を得ることにより、事業をスムースに遂行することにつながる

 この事業にかかる事務費(市職員の人件費含む)は、約20,000千円/年とのことだ。
 富士市の市民協働推進懇話会では、このいわゆる1%制度について「制度を実施するために金がかかりすぎ」等の意見もあったと聞く。
 しかし、市民協働課の職員の仕事=本来の任務は、市民に市民活動とはどういう意義があるのか、市民活動団体はどういう団体があり、どんな活動をしているのかを、わかりやすく伝え、広報することが一番の仕事だと思う。
 それが、多くの市民が市民活動に参加するきっかけ、入口になるからだ。
 そうした意味では、この事業に関して職員が活動することは、全てこの本来の任務につながり、無駄はない。

 この制度に取組む8市で「1%サミット」を毎年開催しているが、来年は、一宮市が当番だそうだ。
 このサミットにできれば私も参加し、改めて市民活動支援のあり方と1%支援制度を考えてみたい。

by koike473 | 2015-09-30 07:37 | NPO・市民活動 | Trackback | Comments(0)  

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