電気と熱を広いエリアに効率的に製造・供給する拠点 小樽エネルギーセンター
2012年 08月 06日

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毎日暑い日が続きますが、皆様体調はいかがでしょうか?
5日ぶりのブログです。
今日は、先週視察で出かけた小樽エネルギーセンターの話。
小樽エネルギーセンターは、北海道ガスが100%出資の子会社・㈱エナジーソリューションが運営し、隣接する大型複合施設「ウイングベイ小樽」に「電気と暖房・冷房・給湯用の熱を製造・供給」する拠点施設だ。

電気と熱を供給するエリアは、もともとJR北海道の機関区や石炭積み出しのストックヤードだった場所で、そこを旧マイカルが、平成11年に複合商業施設・マイカル小樽として整備した34haのエリアだ。

その後マイカルが不振に陥り、「ウイングベイ小樽」として再スタートし、現在はイオンがキーテナントとなっている。

海沿いに伸びる細長いエリアだが、とにかく広くて長い。
写真に納まっている全ての建物=商業施設とホテル。

そして隣接するこのマンション。

これらの施設に地下のカルバート(トンネル)の中を通して「電気と熱」を供給している。

その「電気と熱」を造り出すのがこの建物だ。
最初はエーッと思った。「発電所がないじゃないか」と。
しかしこの建物内に天然ガスを燃料とする「ガスタービンコンバインドサイクル発電 + コージェネレーションシステム」一式が収まっている。

ガスタービン発電機。


蒸気タービン発電機。

排熱から製造した蒸気を振り分ける「蒸気ヘッダ」。

蒸気の熱から触媒の作用によって冷熱(冷水)を作り出す「冷凍機」。

どうしても利用できない低熱を放出する屋上の排熱施設。

こうした廃熱を冷却するために1日300トンの冷却水を使用するが、95%は蒸発してしまうそうだ。
屋上から見る供給先のイオン等。

そして全てを制御する管制室。

このエネルギーセンターの発電規模は16,700kW。
一般家庭に換算すると、人口約13万人の小樽市民が使用する電力の半分を造り出しているそうだ。
具体的な説明をいただいた會田マネージャー。

燃料は、現在は苫小牧付近の地下から取り出した「北海道産」の天然ガスを60kmのパイプラインで運びまかなっている。
また北海道全体でも天然ガスの使用量が増えているので、来年からは北海道ガスが輸入を始め、石狩にあるLNG基地に溜め、そこからもパイプラインで運ばれてくる見込みだそうだ。
JR線路を挟んだ反対側で大きな開発事業が進んでいたので「あちらに電気を供給する予定は?」と聞くと、「いろいろな規制が多くできません」。
電力利用のより効率的なあり方に向けて各界で議論が続いているが、「規制」が大きく立ちはだかり、ここで発電し、余った電力は特定規模電気事業者(PPS)のエネットに卸しているそうだ。
くしくもこの視察ヒアリングをしていた時間に、富士市では静岡県がリードする形で「分散型エネルギーシステム推進協議会」を立ち上げ、PPS事業体を組織する検討を始めることを決めたようだ。(写真は富士ニュース)

會田マネージャーが言っていた「地域にとって最も効率的な方式の組み合わせ」を期待したい。
by koike473 | 2012-08-06 09:01 | 原発・エネルギー | Trackback | Comments(0)