ロマンあふれる森林づくり 伊勢神宮の宮域林と式年遷宮
2012年 07月 26日
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今日のブログは、内山財産委員会で視察に出かけた伊勢神宮(三重県)の「宮域林」(けいいきりん)の話。
伊勢神宮は、天照大神を祀る「内宮」と、衣食住の守り神である豊受大御神を祀る「外宮」から成る。
「宮域林」は、内宮の後背地に広がる約5,500haの森林で、古くから「大御神の山」としてあがめられてきた。
一方、内宮、外宮とも社殿を20年に一度全て造り代える「式年遷宮」(しきねんせんぐう)の制度が確立されている。
来年(平成25年)がその年にあたり、これが62回目、つまり何と1,240年続いている行事だそうだ。
屋根が苔むした現在(平成5年築造)の社殿。
隣接した新社殿敷地では仮囲いがなされ、中で新しい社殿が建設中。
20年に一度建て代えるのは、建物の清浄さを保つとともに、宮大工の建築技術を確実に伝承していくことなどが理由にあるようだ。
かつては、新しい建物を造るのに宮域林から伐り出した木材を使っていた。
しかし宮域林の木材が枯渇してしまったため、木曽(岐阜県)の木材を使うようになったそうだ。
そしてここからが本番。
かつてのように宮域林、つまり地元の材を使い式年遷宮ができるようにしなければとのことで、宮域林の育成管理計画が決議されたのが大正12年。
今から90年前に「200年計画で直径100cmのヒノキ林を造る」ことが決められた。
以来、数代の人間(関係者)の育成管理の結果、大きく育ったのがこの林だ。
当初(約85年前)、1haあたり4,000本の苗木を植え、以来6回の間伐を行い、現在は平均256本/haが残っている。
中でも生育が良く、最終的に残そうと考えられた木には白い二重線が塗られている。
そして85年経って、ようやく今回の式年遷宮に用材として使用できることになったそうだ。
だが、それらは何とか直径60cmに達したもので、柱材等は100cmなければ使えないので、今回は全体の20%の供給に留まるとのこと。
と同時に、しっかり手が入った森林のため、大雨が降っても下流の五十鈴川は、濁流がすぐに清流にもどるなど、水源涵養、土砂流出防止等の機能も高まっているそうだ。
200年経てば、この宮域林で全てまかない、なおかつ毎年補植も行っているので、末長い地元での供給システムが完成する。
長い年月がかかるが、ロマンに満ちている。
ただ気になったのは、かかる経費だ。
伊勢神宮の場合は参拝料等の財源が見込める。
しかし富士市の場合はどうだろう?と考えると頭が痛い問題だ。
それとおまけの話。
宿泊したホテルでの一枚。
トイレットペーパーは富士市の丸富製紙製。遠方で出会うとうれしい。
by koike473 | 2012-07-26 08:02 | 視察・研修・勉強会 | Trackback | Comments(0)