春日製紙さんの新型バイオマスボイラー
2010年 10月 14日
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昨日(13日)は、所属する議会の会派・市民クラブで、春日製紙で4月から稼動を始めた「バイオマスボイラー」を見学した。
概要説明を受けた会議室と春日製紙構内。
このバイオマスボイラーは、とても富士市らしい取組みだ。
再生紙を製造する際などに大量に発生するペーパースラッジ(PS)に廃食油を混ぜ合わせ作ったRPF燃料を使っている。
このボイラーのシステムを開発したのは、クボタ商会の久保田社長だ。
紙のまち・富士市では、年間120万トンのPSが発生する。
昭和40年代は田子の浦港に、50年代は富士山麓に生投棄され、その後は焼却し、PS灰を地中に埋立て処理されていた。
また近年では、PS灰はセメント会社や製鉄所等でその多くが再利用されるようにはなってきた。
しかし、PSを「焼却する」ために大きなコストをかけている。
そこで何とかPSの有効活用の方法がないかと考えた久保田社長は、17年前からPSの燃料化の研究を始め、ようやく第1号のボイラーが完成したとのことだ。
ボイラーのPS投入口。
こちらは、廃食油のタンク。
プラントの中でPSと廃食油がうまく混合され、太さ2cm位、長さ7~8cm位の「RPF燃料」が作られる。
このRPF燃料をストーカ式燃焼炉で燃やし、その熱で蒸気を作っている。
現在は、春日製紙さんで使用する蒸気の1/7にすぎないが、このボイラーがフル稼働すると1/4まで賄えるそうだ。
また、RPF燃料を燃焼した後に残るPS灰(PSM=ペーパースラッジマテリアル)は、様々な粒径に分けられ、軽量ブロックやモルタル、焼物(陶器)等に再利用される。
久保田社長は、このプラント全体をシステムとして特許取得した。そこでは、PSを安定的にしっかり燃やすための技術がポイントだそうだ。
また、このプラントのうたい文句は「サーマル・マテリアルシステム」だ。
「サーマル」がボイラーでの「熱回収」。「マテリアル」が最終的に残るPS灰を「材料」としてリサイクル。
これまでやっかいな廃棄物だったPSと廃食油を使い、熱エネルギーを得て、更に材料として再利用しようという一石二鳥、三鳥、四鳥もの効果を狙った取組みだ。
ただし、廃食油は現在は市外から購入しているとのこと。これからは市内からの調達が課題だ。
紙のまち・富士市ならではのPSの活用が、市内各所の製紙工場で始まることを期待したい。
by koike473 | 2010-10-14 23:46 | 環境 | Trackback | Comments(0)