森林(もり)づくり県民税を考えるタウンミーティング
2010年 06月 03日

会場は、JR富士駅北にある「富士市交流プラザ」だ。

昭和30年代以降、安い外材の輸入が拡大し、林業の衰退が叫ばれるようになって久しい。
それに伴い、森林を管理(間伐等)する所有者が減り、荒廃した森が増え、水源涵養機能の低下や土砂くずれの発生等が懸念されている。

静岡県では、このような荒廃した森林を再生して、特にこのような環境面からの「森の力」を回復するための財源として、平成18年度から「森林(もり)づくり県民税」を導入した。


今回のタウンミーティングは、この「森の力再生事業」の実施状況、有効性を県民に知ってもらうとともに、平成22年度で期間(5年間)が終了するこの「森林(もり)づくり県民税」について県民の意見・意向を聞くために、県が開催したものだ。

前半は、県からこの4年間の実績、成果が報告された。

10年間で、県内の対象となる森林12,000haを整備しようとしているが、この4年間で約4,700ha、約39%の進捗率だそうだ。

間伐等、事業の効果として、下草が表土を覆う面積や新たに発生した樹木の種類等の増加が数値として示された。



県としては、これらの効果を実績に、更に5年間の課税継続を進めたい意向だ。
このタウンミーティングには、富士市内の森林所有者や森林組合の方々が20名ほど参加した。

意見交換の中では、
「富士市民は、これまで約7,000万円の森づくり県民税を納めているが、富士市内で行われた「」森の力再生事業」は1,500万円程度に過ぎない。事業対象となる森林の採択枠を広げるべきだ」
「間伐は、2列の列状間伐でなければならないとされているが、高性能機械を入れずにでき、小規模森林所有者にも対応可能な定性間伐も事業の対象にすべきでは」
「せめて富士市民が納めた分の7~8割を使えるならまだしも、そうでないなら富士市は県民税としてでなく、市民税として市に納める制度にした方が良い」
等、さまざまな意見が出された。
私は、「急傾斜地で林道が整備されていない私有林」が基本なので、地形が緩やかで林道もかなり整備が進んでいる富士市は、対象にならない森林が多いとは思っていたが、まさかこれほどの低い割合だとは思わなかった。
県庁から見れば、県内の荒廃した森林が再生すればいいのはわかるが、富士市のように採択率が低い市町にすれば、納めた分相当の要求は当たり前だ。
県営工業用水の他地域の赤字を、富士地域の黒字で穴埋めしているのと同じ構造だ。
何とかしなければと思う。
だが、これは最終的に県議会で審議する話だ。
そういうことを考えると、市内の森林・林業関係者から生の意見が多数出されたこのタウンミーティングの場に、富士市選出の県議会議員が誰もいないのは大変残念だった。
by koike473 | 2010-06-03 23:53 | 森林づくり・林業 | Trackback | Comments(0)