富士山麓の土採取現場を視察
2010年 05月 19日


富士山麓には、富士山が噴火したときに飛び散った火山礫の小石=ザルボーが堆積している。
ザルボーは、造成工事の際に、締め固めが利く盛土の良質な材料として評価が高い。
このため、以前からザルボーを採取し、その跡地に建設残土を埋め、その上を土で覆う「土採取事業」が各地で行われていた。
しかし最近では、法制度の目をくぐり抜け、違法な土砂を埋めたり、届出とは全く異なる造成工事が行われる例も目立ち、地元で問題になっている現場も何ヶ所かあるそうだ。
これらの事業は「静岡県土採取等規制条例」に基づく手続きを経なければ実施できないが、事業計画を県(富士市の場合は市)へ「届出」すれば可能で、罰則や計画に合致していない場合の現状復旧命令等の措置はできないのが現状だ。
市内では現在、17箇所の現場で土採取事業が行われている。
今日は、この中で5箇所を市の担当課の皆さんの先導で視察した。
いずれも市内の業者さんが、しっかりした工事を行っている現場だ。
山林だったところを伐採し、土を採取し、ほぼ平らに覆土した現場。

造成工事は昨年終了し、今後はここにヒノキ等の苗木を植林する予定だ。

こちらは、谷状の敷地で、土は採取せず、県の公共工事で出た残土を埋め立てている現場。

「何か隠れて変なものを埋めているのでは?」とついつい思いがちだが、公共工事ではザルボーのような盛土も必要だし、発生した残土をどこかに処理しなければならない。
そうした意味では、必要な事業だ。

こちらは茶畑。

以前植えてあった茶の木の改植に併せ、土砂を採取し、品質の良い残土を入れ、埋め戻している。
近年では、乗用茶刈機を導入できるよう、農道の高さに合わせた農地(茶畑)の造成が必要だが、このような「土採取、造成、改植」がセットで行なわれることも多いそうだ。
その後、写真は出せないが、市外の業者が行なったというあまりにもいい加減な土採取、と言うより残土処理現場を見に行った。
「農地を広げませんか」、「農地をかさ上げしませんか」と、地主に近づき、届出と全く異なる造成工事を行う。
契約書には、小さな文字で「工事途中で中止する場合は、地主側の負担で復旧すること」等が書かれており、地主側はどうすることもできないようだ。
そんな中、行政では市独自の「土採取条例」の早期制定を目指しているとのことだ。
罰則規定等も盛り込み、しっかりした指導を行なえるようにするためだ。
議会側でも真剣な調査、検討が必要だ。
by koike473 | 2010-05-19 23:58 | 環境 | Trackback | Comments(0)