「ごみ焼却技術の現状」に関する勉強会
2010年 02月 09日
講師は、全国都市清掃会議 技術顧問を務める寺嶋均氏だ。
寺嶋氏は、長く東京都清掃局に勤務し、エンジニアとして毎年、東京都内に2箇所程度のごみ処理施設を建設・稼動させてきた方だ。
印象に残った話は、「溶融から灰の原料化へ」という流れの話だ。
最終処分場が年々確保できにくくなっていることを背景に、ごみを高温で焼却し、溶かす(溶融)ことにより容積を減らし、かつ無害化する方法が、ごみ処理のベストの方法と言われてきた。
そして国では、溶融方式の処理施設に対しては多くの補助金を交付する制度を創り上げてきた。
しかし最近になり、
・この溶融は大きな施設が必要であり、どんなに工夫しても処理費用が高くつく(灰の状態から溶融処理するのに7~8万円/トン)。
・容積を減らせるが、それは灰の1/2になるだけで根本的な解決とは言いがたい。
・溶融方式の一つであるプラズマ方式では、爆発事故が何件か発生しており技術的に確立しているとは言いがたい。
等の評価が定着してきた。
一方で、焼却した灰をセメントの原料に使ったり(エコセメント)、更に焼く(焼成)ことにより土木骨材に造りかえるなどの方が、コスト的にも安く(3~4万円/トン)、それらの「製品」が市場に回り始めているそうだ。
また、灰にするまで焼却する技術は100%確立されており、爆発事故等の心配はない。
安定した技術の次世代ストーカ炉
しかしこれらの処理方法は、灰にした後、どんな経済情勢であっても確実に買い取る事業者があるか、という点では疑問符が付く。
そのリスク管理が課題だ。
ただ寺嶋氏の話を聞いていて感じたのは、「実績に基づく安心感」だ。
氏は、東京都という人口が集中し、余裕がないスペースの中で、様々な市民の方々と話し合いを重ね、毎年2ヶ所のごみ処理場を造り、大きな事故もなく運営を続けてきた。
そうした技術、実績に裏付けられた説明が、富士市の新環境クリーンセンター建設にも必要だ。
by koike473 | 2010-02-09 23:39 | 環境 | Trackback | Comments(0)