名古屋のベッドタウン 春日井市勝川駅前再開発の視察
2010年 01月 18日
午前中は勝川駅前地区(愛知県春日井市)、午後は大須商店街(名古屋市中区)を視察した。
今日は、勝川駅前地区の報告。
朝6:30に吉原商店街をバスで出発すると、東名の豊田ICあたりから雪が降り出し、春日井市に着くとずいぶん積もっているのに驚いた。

春日井市は、名古屋市の東側に隣接し、名古屋のベッドタウンとして人口が増加してきた都市だ。そしてその中でも勝川駅は最も名古屋市に近い位置にある駅だ。

市職員として長く勝川地区の再開発に関わってこられた林さんと、商店街の水野さんから話を伺った。


林氏からは、
・土地区画整理事業と再開発事業を同時に組み合わせ取り組んだ
・再開発事業は、複数の街区ごとに組合を別(計3組合)にし、再開発が頓挫しても区画整理の成果が生き残るようにした
・当初は、どの再開発も商業ビルを目指したが、テナント入居の目処が立たず、結局高層部は住宅(マンション)とすることにより保留床を確保・販売し、事業費を捻出した
・どの街区でも、候補に上がった住宅デベロッパーやテナントに、直前で何度も撤退されるなど苦労があった
など、事業の裏話も含め、興味深い話を伺った。



水野氏からは、
・中心市街地の活性化を進めるには、商店街、地権者、住民、行政・会議所それぞれの役割がある
・中でも地権者(商業者)の中には、後継者がおらず、再開発等への事業参加意欲が低い人が必ずいるが、そういう地主を説得するのは同じ地権者の役割だ
・意欲が低いままでは事業が進まず、全体の足を引っ張ることになる。「商業者の敵は商業者」である
など、商業者として、また地権者として事業を進めてこられた方ならではの発言が印象的だった。

計8つの街区が、平成20年度までで建物が全て完成し、入居している。

計画着手が昭和61年だから20年以上かかったわけだ。
鉄道高架化に合せ建設された駅舎と再開発ビルを連絡するペデストリアンデッキも、あと1年くらいのうちに完成し、全ての事業が終了するそうだ。

吉原では、処分できる保留床として「住宅=マンション」を考えているが、現在の状況(経済状況等)ではその見通しは全く立っていない。
そうした中で勝川は、商業床としたかったが、「仕方なくマンション」にしたという立地条件(名古屋のベッドタウン)の違いはうらやましいばかりだ。
しかし、お二人からは、長年にわたり苦労されてきたからこそ語ることができる「本質」を伺うことができた貴重な視察だった。
by koike473 | 2010-01-18 01:09 | まちづくり・都市計画 | Trackback | Comments(0)