「老いる都市」とは?  その2

 今日は、しばらく間が開いてしまったが、以前「その1」を報告した「老いる都市の行方 ~社会資本と福祉の持続可能性を探る」の「その2」の話。

 先日は「人口の高齢化」の話だったが、今日は「都市の基盤施設の高齢化」の話だ。
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 我が国の都市整備は、昭和30年代以降の高度成長期に急速に行われた。
 道路、橋梁、上下水道、様々な公共・民間のビルや住宅などなど。
 これらの基盤施設=社会資本の耐久年数は、施設や使用条件等によって幅はあるものの50~60年程度と考えられている。

 これらの社会資本の多くが、今後老朽化し、更新の時期を迎え、公共事業における「更新・維持改良費」が急激に増えていく。
 一方、人口の減少等により投入できる公共事業費は急激に減少していく。
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 その結果、新規の社会資本整備余力は急速に縮小し、2020年代には既存の社会資本の維持・更新すら困難となると予測されている。(この図は、「平成17年度 国土交通白書」にも出ている!)

 つまり、日本全体では新しい公共事業ができないばかりか、現在ある社会資本の補修等もできなくなる。
 松谷氏は「これからは『何を造るか』でなく、『何を残し、何をつぶすか』という時代にならざるを得ない」という言い方をしていた。

 この研修会とは別に、4月にインターネットで「下水管1600km耐用超す。年間690億円投じるも、東京23区内交換追いつかず」というニュースを見た。
 東京都の下水道管は、現在耐用年数を超えている管が1600kmあり、毎年200kmずつ増えていくが、平均で年間90kmしか交換・改修が進んでいない。
 そうした中、下水道管の損傷が原因で起きた道路陥没が毎年1300件発生しているそうだ。
 交換・改修できない管が今後どんどん増えていく。
 既に東京都の下水道は、2020年代の未来図を現していることになる。

 さらに松谷氏は、「人口が減ると、『通勤地獄が解消され、電車の車内で新聞を拡げて読めるようになり、生活にゆとりが生まれる』等の論調もあるが、それは絶対ない。電車に乗る人が減れば1時間に走る本数が減り、車両も両数が減る。そしてその次は廃線です」

 連休中に、図書館で2冊の本を借りた。
 松谷氏が言っていたとおりだった。
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 「人口減少 日本経済・金融・社会はこうなる!」は楽観論、「人口減少 新しい日本をつくる」は悲観論だ。
 前書では「電車の車内で新聞を広げて読める!」、後書では「ゆとり通勤どころか廃線に」が項目のタイトルだ。
 現在の状況を考えれば、バラ色の未来を描くことはできないと私は思う。

 松谷氏も言っていた。「人口減少社会では、公共事業を始め、土地の利用の仕方、まちづくりの進め方の基本的な考え方を変える必要がある。私権制限に今以上に踏み込まなくてならない」

 現在、多くの自治体で土木施設や公共建築物の「長寿命化」が大きなテーマになっている。
 しかしこの研修では、さらにその先(と言ってもわずか10数年先)にある「厳しい社会」を示され、かなり落ち込んで帰ってきた。

by koike473 | 2009-05-13 21:24 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

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