「老いる都市」とは?  その1

 ずいぶん前の話になるが、今日は4月21日(火)に会派で参加した研修の報告。に加え、それに触発されて連休中に(ザーッと)読んだ2冊の本を含めた話。
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 参加した研修は、「老いる都市の行方 ~社会資本と福祉の持続可能性を探る」だ。
 日経新聞社産業地域研究所が主催するもので、講師は政策研究大学院大学の松谷明彦教授だ。
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 松谷氏は、「老いる都市」を「2つの老齢化」という視点で説明した。
 1つは、人口の高齢化と人口減少だ。
 もう1つは、都市の基盤施設(道路、上下水道、建物等)であるハードウエアの高齢化だ。
 結論から言えば、人口が減少し老齢化した都市では、現在の社会的なサービス水準を保つのは非常に難しく、それは既に始まっている。

 今日は、人口の高齢化の話。
 「高齢化」。この言葉を聞かない日はないが、今後人口の高齢化を止めることはできず、また人口減少を止めることもできない。
 出生率が仮にアップしたとしても、出産年齢女性人口(25~39歳)が減少するので出生者数も減少する。
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 一方、団塊世代をはじめとする現在の中年層が続々と高齢者の仲間入りをするので、高齢者は大幅に増加する。しかし亡くなる人も増えるので、結果として人口は減少する。
 そしてその高齢化のスピードは世界の中でも日本は異常に速く、落ちない。

 こうした高齢化、人口減少の大きな要因は、人口構造的に日本だけが「人口の谷」=団塊世代と団塊ジュニア世代の2つのピークを形成しているからだと言う。
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 これは、昭和23年に制定された優生保護法により「人工中絶」が合法化されたからだ。
 戦後の食糧難で、日本人全体が餓えている時にこれ以上人口は増やせなかった。他の国ではベビーブームは戦後10~15年間続いたが、日本では3年(=団塊世代)で終了していることからも明らかだ。
 この頃、統計はないが年間100万例ほどが中絶されていたらしい。

 では、今後の高齢化が最も顕著なのは「どこか」と言うと「首都圏」だ。
 高度成長期に流入した団塊世代以降の世代が、今後続々と高齢化する。
 今後25年の県別の人口を推計すると、人口減少の幅が最も大きいのが秋田県で約30%の減少、そうした中でも東京都の総人口は減らない。
 しかし、高齢化のスピードは急激だ。20年で倍増、30年で3倍増となる。
 そうなると東京都の財政は急激に悪化する。
 さらに、現在は若年層が多いため高齢者施設(特別養護老人ホームなど)は非常に少ないが、今後その需要が急増する(今年3月、群馬県で東京都の生活保護を受けている高齢者の入居が多い老人福祉施設で火災があり、10名が亡くなったが、これはこうした動きの現われの一端と見ることができる)。
 東京は、財政を維持できるのだろうか?
 その時若者は、あまりの税金の高さに、東京を逃げ出すのではないだろうか?

 このような我が国の人口構造の変遷についての説明を聞くと、「おろかな戦争」の「後世代に与える悪影響の大きさ」に愕然とする。
 少子高齢化、人口減少のスパイラルに陥った一端、と言うより最大の要因が「戦争による国の混乱」であったことに。

 何だかひどく固い話ですが、続きは次回に。

by koike473 | 2009-05-07 23:52 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

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