PFI方式で利用好調な「高尾の森わくわくビレッジ」
2009年 04月 16日

「わくわくビレッジ」は、東京都が運営する青少年社会教育施設だ。


玄関を入ると受付と屋内広場が。
かつては都内に6箇所あった「青年の家」を、2箇所に集約・再編する形で平成17年にオープンした施設だ。
我々の視察のテーマは、PFI方式による体育施設等の運営についてだ。
通常、公共施設は、自治体(県や市)が計画、設計、建設、運営を行うが、「PFI」は、その全てを民間企業が行い、自治体はその「サービスをお金で購入する」という方式だ。
メリットとしては、民間活力をうまく導入することにより、安いコストで、大きな効果を得られるということが言われる。
富士市は、建設費が10億円以上となる公共施設の建設・運営については、PFI方式の導入について事前に検討することとなっている。
21年度は、そんな観点から、新規に検討されている武道館・総合体育館の建設・運営に関し、PFI導入可能性についての調査が行う。
そんな背景もあり、この視察となったわけだ。

説明していただいた宮崎館長。
わくわくビレッジは、実は新設の施設ではない。
平成16年3月に閉校となった旧都立八王子高稜高校の校舎や敷地を、リニューアルする形で「わくわくビレッジ」として活用している。

写真をクリックしてください。リニューアル前と後の「ビフォー・アフター」がわかります。
受付と屋内広場は、かつては高校の昇降口だったそうだ。以前の校舎もずいぶん斬新なデザインだったことがわかる。

「PFI」の場合、事業を請け負うのは「SPC」と呼ばれる特別目的会社で、わくわくビレッジは、京王電鉄グループがSPCとなる京王ユース・プラザ㈱を設立し、建設(リニューアル工事)、現在の運営を行っている。
そして実際の運営は、豊富な社会教育ノウハウを持つ「東京YMCA」グループが活動プログラムを提供する形で行っている。
京王電鉄は、新宿~八王子間を営業エリアとする電鉄会社として、地域貢献、CSRという視点からもかなり積極的にこのPFI事業に取り組んでいるようだ。
SPC選定のための提案の際、京王電鉄グループの提案は、金額的には高い方から2番目だったが、提案内容が評価され契約となったようだ。
リニューアル工事を含め10年間の契約を結んでいる。
目標として、年間の利用宿泊延べ数は24,000泊だが、実績は34,000泊とかなり好調だ。

こうして見ると、かつて学校だったことがよくわかる。

以前中庭だった部分に屋根をかけて創り出されたカフェテリア。

以前は教室だった宿泊ルーム

デイキャンプの皆さんが、リーダー(指導者)の指導で飯盒炊飯。
我々が視察した日は、春休みということもあり小学生から大学生、あるいは地域の団体等が、数多く合宿したり、デイキャンプ、弁当を持っての散策・レクリエーションを楽しんでいた。
これ以外に、100に上るというYMCAの体験プログラムが、この施設の魅力を高めているようだ。
PFIと言うと、施設の建設・運営をいかに効率的=安くするかに目が行きがちだ。しかし、それももちろん重要だが、それ以上にそこで提供されるサービスの満足度が重要だ。
富士市の武道館や体育館では、どんなサービスが行われるべきか?
もっと言えば、現在、富士市あるいは近隣市町で、官民さまざまなスポーツ施設でのサービス提供はどうなっているか?
そうした中では、何が足りないのか?あるいはもっと高度化させるべきなのか?
施設ありきでなく、武道館・総合体育館の「目的」から改めて議論する必要性を感じた視察だった。
by koike473 | 2009-04-16 00:22 | 視察・研修・勉強会 | Trackback | Comments(0)