産婦人科の医療体制はどうしたら守れるか?
2009年 03月 04日
昨年4月に富士市に富士市立中央病院の産婦人科医師の引き上げが慈恵会医大から伝えられた。
市をはじめとする関係機関の努力で、浜松医大から医師を派遣してもらうことが決まり、当面の危機は回避できた。
しかし、この問題への対応・対策を通じて明らかになった産科医療の極めて脆弱、不安定な現状と、今後の対策を市民も入った中で考えようとの趣旨で、富士市・富士市医師会が主催したものだ。
それぞれの立場の皆さんから意見発表があった。
市民の立場で「産婦人科医師派遣確保」の署名運動をリードした「産婦人科を守る会」の細木さん。
活動を通じて、産婦人科医師が孤独と緊張の連続の中で、「患者や市民ともっと話ができ、歩み寄れる環境がほしい」と強く思っていることを感じたそうだ。
市民ができることとして、出産でお世話になった先生に親子の写真とともに「ありがとうメッセージ」を贈る運動を始めたそうだ。
上から、望月産婦人科医院院長の吉川先生。市立中央病院産婦人科部長の窪田先生。県富士健康福祉センターの鈴木所長。
いずれも、「出産は母子ともに何の事故もなく生まれてくるのが当然」と考えられるようになった中で、事故に伴う訴訟ケースの増加。それらを背景に産婦人科医がどんどん減少し、労働環境(労働時間、精神的プレッシャー、待遇等)が著しく悪化している状況が報告された。
このような労働環境を改善するには、ハイリスク出産や診察・治療を受け入れる中核病院(富士地域で言えば中央病院、富士宮市立病院)へのマンパワーの集約・強化が絶対不可欠とのことだ。
また、患者となり病院を利用する市民の側も、「コンビに受診」をしないこと等をはじめ、できることはたくさんある。
最後は、それぞれの発表者の方々がパネラーになり「意見交換会」(パネルディスカッション)を予定していたが、時間が押してしまいほとんどできなかった。
しかし、会場に参加した皆さんは、私をはじめ、産科医療を取り巻く厳しい状況が理解できたと思う。
これからの対策に向けては、より多くの市民の皆さんに、この不安定で脆弱な産科、そして公立病院の状況を知ってもらうことがまずは重要だ。
そのためには、私は富士市の産科の状況を報告する「ドキュメンタリー番組」を作り、放送でもしなければ伝わらないのではと思う。
シンポジウム開催や冊子配布などでは、なかなか人は集まったり、集中して見たり、読んだりしない。
これだけ重要な問題なのだから、費用はかかっても仕方がないと思う。適切な医療を受け、健康を取り戻した方が、結局は医療費、つまり税金からの支出の軽減にもつながる。
テレビ局や制作会社に依頼し、映像とインタビューにより30分番組に編集し、「産科医療の現状」をリアルに訴えていくようにでもしなくては?と感じたのだが。
by koike473 | 2009-03-04 23:37 | 保健・福祉・医療 | Trackback | Comments(0)