「富士市生活排水処理長期計画(案)」がまとまりました
2009年 02月 09日
生活排水処理とは、トイレ、風呂、台所などから出る「排水=下水」をどう処理するかということだ。


「富士市生活排水処理長期計画」の上位計画として平成19年にまとめられた「富士市生活排水処理ビジョン」
これ以前の計画は、市のかなり広い範囲を「公共下水道」で網羅し、市の南側の東と西にある処理センターで浄化するというものだった。
しかし、この下水道方式では、全体が完成するのにあと40~50年位かかりそうだ。
そこで、「早く、安く、効率的」に生活排水処理全体を確立・稼動させるために、計画を見直そうというものだ。
結論的には、
①下水道で処理するエリアを第二東名以南に狭める
②それ以外のエリアは、第二東名以北で下水道整備にかける予定だった金額を、各戸で合併浄化槽設置に際しての補助金をこれまで以上に手厚くすることにより、合併浄化槽の設置とそれによる排水処理を進める
と、「下水道」と「合併浄化槽」の二本立てを明確に打ち出した。
また、これまでは合併浄化槽については維持管理は各家庭で行っていたが、それではしっかりした管理ができず、浄化槽が機能していないケースも多かった。そこで、各家庭でのしっかりした検査の実施等を条件に、維持管理にも補助金を交付し、その検査・管理促進を図ろうという考えだ。
これにより、投資額はさほど増やさずとも、今後20年間のうちに市内全域の生活排水処理施設の整備を完了しようとする計画だ。
私は、以前から、「合併浄化槽の整備は、早く設置を進め、設置後の維持管理も市が行う『市町村設置型合併浄化槽』方式で行うべきでは」と提案してきた。
また、先日の会派の視察研修では、この「市町村設置型合併浄化槽」方式を20年度から導入した広島市にヒアリングにも行った。



広島市でのヒアリングの様子
しかし、富士市で検討した結果や広島市の状況を総合的に考えると、
・富士市では下水道整備がまだ途中段階であり、下水道整備に今後とも相当額が必要となる(広島市は、下水道整備がほぼ100%完了し、生活排水処理財政全体に余裕が出てきたので市町村設置型浄化槽に取り組んだ)
・富士市は地方交付税の不交付団体(財政的には自立している「裕福」(?)な自治体)なので、市町村設置型浄化槽を設置するにしても国の補助金は交付されない
など、財政的な負担からすると、市町村設置型浄化槽の導入は困難だと判断せざるを得なかった。
しかし、合併浄化槽エリアと位置づけられた大淵地区や富士川地区では、浄化槽の設置や維持管理には、従来と比べると、大幅に補助金が増えることとなり、その設置促進が期待される。
だが、いくら制度を改善しても、実際に各家庭で合併浄化槽に切り替えをしてもらわなければ意味がない。
40年以上かかる以前の計画を、20年と半分の時間で完了させるわけだから、この期間は「生活排水処理への集中投資期間」と考えることができる。
補助金(税金)と各家庭の負担分を合わせると、相当の金額になる。
このお金が市内に回ることを考えれば、市役所だけでなく、関連する業者の皆さんのいい意味での営業力との連携も重要だ。
毎年着実に合併浄化槽が設置され、各家庭でしっかりした維持管理がなされるよう、官民のスクラムワークを考えなければならない。
2月19日から、この「富士市生活排水処理長期計画(案)」を公表し、市民の皆様の意見を求め、計画に反映させるために「パブリック・コメント」が実施されます。

パブリックコメント制度の流れ
市のホームページや各地区のまちづくりセンターで見ることができます。
是非、多くの皆様にご覧いただき、ご意見をいただければと思います。
by koike473 | 2009-02-09 23:15 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)