「みんなの計画、役所の支援」 豊中市の「まちづくり条例」

 会派で行った視察の続きで、豊中市の報告。
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 今回の2泊3日の視察で、私が一番ポイントに置いていたのが、豊中市の「まちづくり条例」の取組みだ。
 豊中市は、大阪市の北側に位置する人口38万人の都市だ。
 大阪の都心には地下鉄で30分ほどで直行でき、大阪国際空港(伊丹空港)もターミナルビルが市内にあり、交通の便が非常にいい。
 「西の豊中、東の鎌倉」と言われ(私は知らなかったが)、古くから住宅都市、文教都市として栄えてきたそうだ。

 知識層の住民も多く、今でこそ全国各地で「住民参加」が当たり前のように言われているが、豊中市では随分前(昭和50年代)から自分達の生活環境やまちづくりに関し、「物を言い、活動する市民」が多かったようだ。
 そうした中で、平成4年に制定されたのが「豊中市まちづくり条例」だ。
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 この条例のキャッチフレーズは「みんなの計画、役所の支援」だ。一言で言えば、「地域のまちづくりの合意形成、活動スタートの支援」を制度化したことだ。
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 豊中市では、住民主体のまちづくりを、その熟度によって以下の4段階に分けて考えている。
  (1)まちづくりの発意段階・・・思い立ち、有志が集まる、勉強会を始める
  (2)まちづくりの研究段階・・・地域の課題や将来像を探り、研究する
  (3)まちづくり構想の取りまとめ段階・・・将来像の策定と、その実現に向けての手法・制度を検討する
  (4)将来像実現のための活動段階・・・構想に基づき具体的に取り組む
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 (1)、(2)の段階では勉強会等のテーマに応じ、市役所の関係課の職員で構成する「まちづくり支援チーム」を地域の勉強会に派遣し、専門的な見地から市民の学習や議論をサポートしている。
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 また、(2)、(3)の研究、構想とりまとめの段階では、さらに専門的、中立的な立場のアドバイザー(大学の先生等)やコンサルタントを地域に派遣し、専門的な技術面でのアドバイスを行ったり、地域の合意形成をサポートしている。
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「そね地区」でまとめた「まちづくり構想」
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「まちづくり構想」の提案を受け、行政側の考え方を施策として返した形の「そね地区のまちづくり基本方針」

 さらに、(3)のまちづくり構想を地域でまとめた後は、それを行政側が提案として受け取り、庁内で1年以上かけてしっかり検討し、協働の考えに基づく市としての「まちづくり方針」を発表している。
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 この方針にもとづき、行政と市民が役割分担しながら(4)の具体的なまちづくりの活動に取り組んでいる。

 全国各地で「住民参加のまちづくり」が言われて久しい。
 我々市民は、一人ひとりが「こんなまちになってほしい」という思いは断片的には誰もが持っている。しかし、それをお互い話したり、イメージし、共有する場面はほとんどない。
 まして、それを仕事にしているわけではないから、具体的に誰といっしょに、どんなやり方で進めたらいいかわからない。
 さらに、専門的な制度やしくみについて知らないから、思いはあっても、進めようとする途中で疲れてしまい、あきらめてしまう。
 こんなことが多いのではないだろうか。
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 豊中市の「まちづくり条例」は、そうした市民の思いを具体化し、形にするために、市民の弱い部分をサポートするしくみを定めた条例だ。
 多くの地区で、この条例を活用し、地域独自のまちづくりが進んでいる。

 一方富士市では、向こう10年間の富士市のまちづくりの基本方向、具体的な施策の方向性を示す「第五次総合計画」の策定作業に取り組んでいる。
 昨年の夏から12月にかけては、市内各地区ごとに、まちづくり推進会議を中心に、市民サイドから地区の将来像と10年間で取り組むべきと考えるまちづくりの方向性について検討し、市(行政)に提案を行った。
 各地区とも、膨大なエネルギーをかけて取りまとめた提案だ。
 この提案は、市民参加のまちづくりの大きな第一歩であり、大事にしなければならないものだ。

 2月議会では、豊中市の取り組みを参考にしながら、富士市の市民参加のまちづくりについて一般質問を行いたいと考えている。

by koike473 | 2009-02-01 23:16 | まちづくり・都市計画 | Trackback | Comments(0)  

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