一宮市の「市民が選ぶ市民活動支援制度」公開プレゼン その1
2009年 01月 15日
「市民が選ぶ市民活動支援制度」公開プレゼンテーションを見るためだ。
これは、11月議会で私が質問(提案)した制度で、市民活動団体が行う活動を広く公表した上で、市民一人ひとりの判断・選択に基づき、自分が支援したいと考える市民活動団体に、納税した個人市民税1%相当額(一宮市の場合、一人年間658円)を支援(補助)する制度だ。
一宮市では既に20年度から取り組み始めているので、実際の様子を視察に出かけた次第だ。
新幹線を名古屋駅で乗り換えると、あまりの寒さに驚いた。吐く息が真っ白だ。
さらに東海道線で西に向かうと雪が積もっている。寒いはずだ。
会場は、一宮市の「ファッションデザインセンター」。一宮は毛織物のまちだ。
一宮駅から会場まで約20分歩いたが、何軒かの織物関連の会社が目に付いた。
今日は、午前中に行われた開会式と基調講演の報告。
開会後の谷一宮市長のあいさつ。
さすが毛織物のまち、セーターにジャケットが決まっている。
谷市長は、市長になり10年だそうだが、話を伺って、市民活動やNPO制度に関しては相当勉強され、自分の言葉で話されていることが印象的だった。
「先発の市川市(千葉県)には負けたくない。18歳以上の市民の皆さんの10%、3万人の方々から投票いただくことをめざしたい」と決意を述べられた。
また、あいさつの後、午前中ずっと制度説明や基調講演に聴き入っていた姿は、市長のこの制度にかける意気込みが、会場にいた多くの市民の皆さんに伝わったのではないだろうか。
そしてその基調講演。
講師は、「NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」事務局長の松原明氏だ。
松原氏には、先月(12月)、沼津であったシンポジウムでお会いし、この「市民が選ぶ市民活動支援制度」のポイントやメリットを伺っていた。
この日は、さらに詳しい話を期待して出かけたが、私には予想以上の収穫だった。
松原氏は「市民が市民活動を選ぶことの意義」と題して、初めてこの制度を導入した市川市の例(松原氏自身が市川市の制度設計にも関わっている)をもとに話された。
私が、松原氏の話を聞いて感じたこの制度の重要なポイントは、以下の3点だ。
まず1つは、このしくみは「市民が理解しなければ成立しない制度」ということだ。
つまり、この制度そのもののしくみや、支援を受けたいと希望する市民活動を、市民の皆さんに理解いただき、投票してもらわなければ制度そのものが機能しないしくみだ。
機能させるためには、行政は、これまでにない新しい制度なので、より積極的に広報、説明しなければ、しくみが市民に浸透しない。また市民団体は、どのようなサービスを地域社会に提供できるか、そしてそのサービスがどれほど必要かを市民にわかりやすく説明し、賛同を得なければ支援が受けられない。
2つ目は、この制度の最大のメリットは、支援金(補助金)の額の多い少ない以上に、さまざまな市民活動に関するPR、さらには仲間づくりにつながるということだ。
上記のように、支持を得るために自分達の活動の広報を進めた結果、活動に賛同するボランティアや会員が増え、またさまざまな励ましの声をもらう団体が増えたそうだ。
私は、活動に理解、賛同し、ともに活動する仲間が増えることほど、うれしく、勇気づけられることはないと思う。
松原氏が最後に言っていた「この制度は、いい意味の『仲間づくり』を進めるためのしくみです」という言葉が印象的だった。
3つめは、あえて市民の目を引く、新規の事業でなく、その団体の地道な活動であっても市民の中には必ず支持してくれる人がいるという指摘だった。
これは、ある意味、予想とは逆だった。
私は、新しい事業で、プレゼンが上手な団体ほど票を集め、地味な活動はなかなか票が集まらないのではと思っていた(だからこそ、そうした団体の事業を拾い、支援できるような審査員制度の併用が必要だと考えていた)。
ところが、松原氏が言うには、地道な活動であっても、多くの市民の中には、必ずその活動を必要としたり、見ている人が何人かいる。継続してエントリーしていけば、少しずつでも支持が広がり、それが団体の励みになり、自信を持った活動につながっているとのことだった。
この3つのポイントと思ったことを突き詰めて考えると、キーワードは「見える化」だ。
市民にとって、制度の「見える化」、市民活動の「見える化」が進まなければならず、それができれば市民からの支援の「見える化」=一人ひとりの支持投票につながり、活動を理解し、ともに動く仲間が増えていく。
資金的な支援だけでなく、そんな大きな期待ができる新しいしくみだと改めて感じた。
午後に行われたプレゼンの様子は、後日紹介します。
by koike473 | 2009-01-15 23:23 | NPO・市民活動 | Trackback | Comments(0)