カテゴリ:公共施設マネジメント( 20 )

 

自治体財政が抱える時限バクダン 「富士市公共建築物保全計画」説明会

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 夕べは、田子浦まちづくりセンターで行われた「富士市公共建築物保全計画」の説明会を聴講した。
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 これまでに造ってきた公共建築物が、老朽化する一方で、人口減、厳しい財政状況が見込まれる中では、今ある建築物の全てを建て替えることは不可能だ。
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 どういたらいいか?
 私も議会で何度か質問を行った。

 まずは、富士市の公共建築物の現状をしっかり把握することから始めようと、まとめたものだ。

 現在ある建物を維持管理するのに年間60億円の経費がかかっている。
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 更に、更新・改築(建替え)にかけている費用は年間30億円だが、このまま毎年30億円投資したとしても、現在ある建物を全て建替えるには大幅に工事費が上回ることになり、借金するか、建替えをあきらめるかのどちらかしかない。
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 「時限バクダン」より「時限爆弾」の方がよりリアルだと思ったが。
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 ここで、わかりやすく一つの「家庭」に例えた説明があった。
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  1 主人の収入が先細り
  2 資産は多いが効率的に使っていない
  3 高齢者、子どもにはお金がかかる

 これを市の現状に置き換えると
  1 税収減が続く
  2 建物はあるがあまり使われていない
  3 福祉、教育等の分野の経費は減らせない

 こういう現状を踏まえ、「公共施設のあり方を市民の皆さんと一緒に考えていきましょう」とのことだったが、この日の参加者は12名。
 参加された方は、もともと意識の高い方か、「『公共施設を減らす』を基本に考えるべき」、「こうした判断・決定は、縦割りでは進まない。権限を持った部署を作って進めるべき」等の意見があった。

 説明会は、全部で7回だが、参加者は100人に達するだろうか?
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 多くの市民の皆さんと「現状と危機感を共有」した中で進めなければならない。
 共有するために別の方法も考えなければ!

by koike473 | 2014-07-31 07:50 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

公共建築物が古くなり使えなくなっても、今後はそのまま建替えるのは難しい

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 富士市では、平成25年度までに「富士市公共建築物保全計画」をとりまとめた。
 これは、私も何度か議会で問題提起してきたテーマだ。
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 高度成長期を中心に建設された学校、まちづくりセンター、福祉施設等の市が所有する公共建築物が、今後集中して老朽化、建替えの時期を迎える。

 そのまま建替えるのでは、もはや財政的に成り立たないので方策を考えなくては、と言うことで公共建築物の現況をしっかり把握しようということでまとめたものだ。

 一方、こうした建築物を維持管理していくコストや、利用状況も整理している。
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 建築物の「一生」(建ててから解体処分するまで)をコストの観点から見ると、建設費用は1/4に過ぎない。
 その後の管理費や高熱水費、修繕費等が3/4も占めている。
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 富士市全体の公共建築物を途中で大規模修繕しながら65年間使用するものとして、全施設をその後新たに建替え(更新)する場合のシュミレーションが示された。
 以下のグラフだ。
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 折れ線グラフを見ると、65年間で必要な総費用は3,000億円だが、現在の建築物維持・更新に対する投資額30億円/年を続けて行った場合、およそ20年先以降は、財源不足で建替え等ができなくなる。

 しかもこれは、現在の投資額(30億円/年)が確保できたとした場合で、医療・福祉費等の増大等による影響は加味していない。

 それではこれからどうすべきか?
 本年度から、この「保全計画」を踏まえ、今ある施設の長寿命化、統廃合、民間活用等を考えた「公共施設再編基本方針・計画」の策定に着手することになっている。

 一方、道路、橋梁、河川、上下水道等の「土木系インフラ」は、まだその全体像…今後の維持管理・更新にどの位費用がかかるのか、それは財政にどうい影響するか等が把握されていない。

 現在開会中の6月議会では、そんな問題意識で「土木系インフラの総合的な維持管理・長寿命化計画について」をテーマに一般質問を行います。
 来週の25日(水)10時からです。

by koike473 | 2014-06-19 08:01 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

「老朽化する社会資本―再生の基本戦略」シンポジウム

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 16日(土)は、シンポジウムを聴きに東京に出かけた。
 「老朽化する社会資本―再生の基本戦略」というテーマだ。
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 会場は日本プレスセンター。
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 霞が関の官庁街のすぐ近く。写真で言うと下の日比谷公園の道路を挟んで左側だ。
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 主催は(公益財団法人)後藤・安田記念東京都市研究所(一昨年までの「東京市政調査会」)。毎月「都市問題」という雑誌を発行している東京都のシンクタンクだ。
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 私もそうだが、毎月3回発行される「全国市議会旬報」というチラシに、スケジュールが掲載されたため、全国各市の議員が多数参加したそうだ。
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 私も議会で2回一般質問したが、昨年12月の中央道笹子トンネルの天井落下事故をきっかけに「高度成長期に造られ、老朽化した道路、橋梁、水路、トンネル、上下水道、公共建築物をどう維持管理、更新していくか」という課題が大きく取り上げられるようになった。

 今朝は時間がないので写真だけで。

 基調講演は、東京都市大学学長の中村英夫氏。
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 会計的に「減価償却」を上手く活用する民間(東京ガス)の施設更新の取組みには、「なるほど」。
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 土木、建築、水資源、財政、各分野の専門家によるパネルディスカッション。
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 「社会資本を新設整備する時には省庁の縦割りは上手く機能したが、維持管理・更新については、それぞれの現場で考え、工夫しなければ進まない」。
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 永田町や霞が関の考えではお手上げ?ということだけは確かなようだ。

by koike473 | 2013-02-18 08:40 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

ちょっと?ずいぶん? 変わりつつある富士市庁舎

 このあたりも梅雨が明けた(?)ようで、昨日から急に暑くなった。
 久しぶりに自転車で市役所に行くと、庁舎の姿が変わっていた。
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 昨年から始まった耐震及び設備等の改修工事がずいぶん進んだ。
 特に目立つのが、耐震のために、各階の窓の外側(実際には柱の間)に入れられた「筋交い」(?)だ。
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 建物の中から見ると、地震の際には滑車(?)部分が動き揺れる力を吸収するようになっているようだ。
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 それにしても、全ての枠に設置するでもなく、形もそれぞれ不揃いで、デザイン的には「それはないでしょ」だ。
 まあ、既存建物の耐震工事だから仕方がないが。
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 北側は、まだ「筋交い」工事が続いている。

 しかし今回の工事は、耐震工事に加え、東側入口部へのエスカレーター設置やエレベーターの改修、更には2階フロアの配置換え(窓口サービスは、2階に集中し、市民の皆さんが庁内をウロウロしなくて済むようにする)など多岐に及び、予算も23億円以上かかっている。
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 庁舎の東隣にあった石畳の広場から2階に渡る「橋」が撤去された。
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 庁舎東側には、外部通路から2階に上がるエスカレーターが設置される。

 ということは、建築後40年以上たつ現在の庁舎を、ここで本格的に手入れし、今後ともできるだけ長くこの建物を庁舎として使っていこうという富士市としての意思が現れているということだ。
 もちろんこの改修工事は議会にも議案として提案され、議会でも認め進めている。

 私は、6月議会で、「公共施設の長寿命化」について質問した。
 昭和40年代から50年代にかけて建設した公共建築物が多く、築30年以上のものが30%を占めていて、庁舎のように大規模改修が必要な建物がどんどん増えてくる。
 しかし、その改修費用の全体額はわかっていない。
 庁舎は、これからも絶対必要な建物だから、これだけの投資をして長持ちさせることが当たり前のように決まり、工事を進めている。
 だが、他の施設を、同じように改修できるだろうか?
 富士市の財布は大丈夫だろうか?

 改めて、今ある公共施設の維持管理・改修費用の試算・見通しを持った中で「公共施設保全計画」を策定し、計画的な保全管理に取り組む必要性を感じた。

by koike473 | 2009-07-14 23:44 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

私の一般質問は25日(木)の午後2番目!

 今日の議会運営委員会で、現在開会中の6月定例議会の一般質問の日程が決まった。
 計20人が登壇するが、私はその中で7番目。25日(木)の午後2番目(14:00から)となった。

 今回は、以下の2つについて質問する。
 1 「犬と人間が共生できるまちづくり」を目指した取組みについて
 2 公共施設の長寿命化と民間活力導入による住宅供給について

 少し(ずいぶん?)長いが、2つの質問の通告書は以下の通りだ。

1 「犬と人間が共生できるまちづくり」を目指した取組みについて
 現在、市内には登録されているだけで約1万6千頭の犬がいる。また未登録の犬を含めると、その数は約3万頭に及び、4~5軒に1軒の割合で犬が飼われていると推測される。
 かつては、家の番犬として飼われることが多かったが、特にバブル期以降は、少子高齢化・単身世帯の増化等が進む中で、家族の一員として、心のやすらぎや癒し、更には福祉的な側面など、さまざまな理由から犬を飼う人が増加している。
 一方、全国各地で見られるように、一部の心無い飼い主による犬のフンの放置、飛びつき等の問題は、富士市全体でも大きな問題になっている。
 こうした中、市内の愛犬家の方々の中には、「このままでは犬を飼ったり、散歩・運動等ができなくなってしまうかもしれない」という危機感を背景に、各地で公園の清掃活動や散歩時の見回り活動等を始める方々も出てきている。
 中でも、本年5月末には、市内全域の愛犬家の方々に呼びかける形で富士ドッグサポーターズクラブ(通称「FDSC」)という市民団体が設立され、まずは約150名、200頭の登録で活動を開始したところである。
 FDSCは、①飼い主は防犯腕章、愛犬には防犯バンダナを巻いてもらい、日常の散歩時に地域を見守るなどの「街の防犯活動」、②散歩時のごみ拾いや犬のしつけ教室の開催などの「街の環境美化活動」、③一人暮らしの高齢者宅を犬と訪問するなどの「街の介護活動」を3本柱としている。
 このように、愛犬家の方々が立ち上がり、活動を始めたことは大きく評価できるが、多面的な効果・狙い(防犯、環境美化、しつけ、癒し、介護福祉など)、そのボリューム(市内の犬の数の多さ、市内全域が犬の生息空間であることなど)を考えると、一部の愛犬家の方々に任せておけば良いという問題ではないと考える。
 こうした中で、以下の点について伺う。

(1)FDSCをはじめとする愛犬家の皆さんの取組みをどう評価するか

(2)今後、こうした愛犬家の皆さんと行政各部署、市内の各種団体等が連携していく体制をつくる必要があると考えるがいかがか

(3)犬を健康に育てるために、一定のエリアで自由に遊ばせ、またしつけ教室等を行う拠点となる公設ドッグランを、市内の公園等に確保・整備する必要があると考えるがいかがか



2 公共施設の長寿命化と民間活力導入による住宅供給について
 今後本格的な人口減少時代を迎え、一層の少子高齢化とともに、都市の基盤施設-道路、橋梁、上下水道、公共建築物等も高齢化する。
 高度成長期から一気に整備・建設が進んだこのようなハード面の社会資本が、次々と耐用年数を迎えるからである。
 国では、国土交通省が所管する既存の社会資本の維持管理・更新費用を試算したところ、その費用は今後とも一定割合で増加する一方、人口減少等に伴う公共事業投資許容額は急激に減少し、2020年代には、新規の社会資本整備どころか、既存資本の維持管理・更新すらできなくなると報告されている。
 その一つの例として、東京都の下水道が挙げられる。
 東京都の下水道管は、現在耐用年数を超えている管が1,600kmあり、毎年200kmずつ増えているが、平均で年間90kmしか交換・改修が進んでいない。そうした中、下水道管の損傷が原因で起きた道路陥没が毎年1,300件発生している。
 このように交換・改修できない管が今後どんどん増えていく。下水道管の補修だけでなく、道路の陥没・補修工事による交通事故や交通渋滞の発生の懸念など、影響は大きい。
 これは下水道をはじめとする都市基盤整備が、早い時期から始まった東京都に最初の現象が現れているだけのことであり、順次地方に拡大する。
 現在、さまざまな都市基盤整備を進めている富士市においては、新規整備を進めつつ、更に次々と老朽化する既存資本を維持管理・更新していかなければならないという2つの面から大きな負担になることが予想される。

 こうした中では、今後以下の2点の考え方が必要と考える。
 1つは、富士市第三次国土利用計画で打ち出されている「コンパクトシティ」の推進である。市街地の拡大を抑制し、基盤整備が整いつつある街なかへの居住促進や都市機能の集約を進め、外延部の新たな社会資本投資を極力抑えることである。
 2つ目は、「既存社会資本の長寿命化」の推進である。各種の基盤施設を計画的にメンテナンスすることにより、維持管理費の累計を安く収め、施設を長持ちさせるよう予防保全対策をとることである。
 こうした考えを踏まえ、以下の点について伺う。

(1)富士市における中長期的な公共事業投資許容額と、既存社会資本の維持管理・更新費用の試算・見通しはいかがか

(2)厳しい財政条件の中で、施設の長寿命化、ライフサイクルコストの削減、財政負担の平準化を図っていくために、「公共施設保全計画」の策定とそれを踏まえた取組みが必要と考えるがいかがか

(3)富士市住宅マスタープラン(平成17年3月)によれば、今後の重点的な取組みとして「高齢者の居住支援」が位置づけられ、平成26年度までの「高齢者のひとり暮らし・夫婦を対象とする優良な賃貸住宅の供給誘導目標は440戸」とされているが、現状(平成21年)ではほとんど進捗が見られない。
そうした中で
 ①市営住宅の新規供給が、上述の理由でますます難しくなる中では、住宅供給に民間活力を誘導する「地域優良賃貸住宅(一般型・高齢者型)」制度等をもっと積極的にPRし、活用を促進すべきと考えるがいかがか

 ②コンパクトシティ化を進める上では、特に中心市街地への住宅誘導が重要と考える。上記(1)の「地域優良賃貸住宅(一般型・高齢者型)」制度に富士市独自の優遇措置を上乗せし、中心市街地での高齢者住宅整備・供給を誘導すべきと考えるがいかがか


 写真もなく、ずらずらと書きましたが、興味のある方は、平日ですが議会を傍聴に来られるか、「富士市議会」のHPで議会中継をご覧下さい。(インターネットは後刻、何度でも見ることができます)

by koike473 | 2009-06-22 23:30 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

富士市の下水道施設を見学して・・・。

 12日(火)は、新人議員の自主研修会「チャレンジ改革セブン」で「下水道処理施設」の視察研修を行った。
 視察先は「東部浄化センター」(富士岡)、「クリーンセンターききょう」(五貫島)、「中野台コミュニティプラント」(富士川中野台)の3箇所だ。
 「東部浄化センター」と「中野台コミュニティプラント」は、家庭の汚水(トイレ)、雑配水(風呂、台所など)が下水道管を通って入り込み、それを浄化し、河川に放流する施設だ。
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 東部浄化センターでの説明

 また「クリーンセンターききょう」は、溜め式のトイレや浄化槽の汚泥をバキュームカーで運び込み、それらを浄化する施設だ。
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 クリーンセンターききょうで記念撮影

 どの施設も、初めて実際に汚水などを浄化している沈殿池やエアレーションタンクの中などを見学した。
 「臭いのかな?」と思って入ったが、どこもほとんど臭いがしない。
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 例えば、東部浄化センターでは、このような土壌脱臭装置で悪臭成分を取り除いている。芝生の下にある土(土壌)に含まれるバクテリアの働きで臭いの元になる成分を分解するそうだ。
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 また、エアレーションタンクの中でも、バクテリアが有機物を分解し、浄化の働きを行っている。
 バクテリアはたいしたものだ。
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 4/29の「ブナ林創造事業」のミニ講演で、中山先生(富士自然観察の会)がおっしゃっていた「生物多様性」の重要性を改めて感じた。

 富士市の公共下水道の整備率は現在70%強の状況だ。
 計画では、これから20年かけて残りの下水道管や浄化センターの拡張工事を進め、100%の整備を目指している。

 しかし、気になることがある。
 昨日このブログに書いた「人口減少社会と都市基盤施設の高齢化」の問題だ。

 富士市でも、昭和40年から公共下水道の供用が開始され、徐々にその供用区域を広げてきている。
 現在でも、老朽化した下水道管の「交換・改修事業」が行われ、これからそれがますます増えるだろう。
 一方で、現在未整備の残り30%近い下水道管も新設整備しなければならない。
 ネットのニュースで見た「東京都の下水道」は、現在当初の下水道管は100%整備が終了しており、今後の交換・改修だけで大きな問題となっている。
 富士市を始め、地方都市では「新設+交換・改修」のダブルで負担がのしかかってくる。

 今日もブログを書いて落ち込みそうだ。
 下水道だけでなく、公共事業のあり方、まちのあり方について、孫子の代のことまで全員で考えなければならない。

by koike473 | 2009-05-14 23:38 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

「老いる都市」とは?  その2

 今日は、しばらく間が開いてしまったが、以前「その1」を報告した「老いる都市の行方 ~社会資本と福祉の持続可能性を探る」の「その2」の話。

 先日は「人口の高齢化」の話だったが、今日は「都市の基盤施設の高齢化」の話だ。
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 我が国の都市整備は、昭和30年代以降の高度成長期に急速に行われた。
 道路、橋梁、上下水道、様々な公共・民間のビルや住宅などなど。
 これらの基盤施設=社会資本の耐久年数は、施設や使用条件等によって幅はあるものの50~60年程度と考えられている。

 これらの社会資本の多くが、今後老朽化し、更新の時期を迎え、公共事業における「更新・維持改良費」が急激に増えていく。
 一方、人口の減少等により投入できる公共事業費は急激に減少していく。
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 その結果、新規の社会資本整備余力は急速に縮小し、2020年代には既存の社会資本の維持・更新すら困難となると予測されている。(この図は、「平成17年度 国土交通白書」にも出ている!)

 つまり、日本全体では新しい公共事業ができないばかりか、現在ある社会資本の補修等もできなくなる。
 松谷氏は「これからは『何を造るか』でなく、『何を残し、何をつぶすか』という時代にならざるを得ない」という言い方をしていた。

 この研修会とは別に、4月にインターネットで「下水管1600km耐用超す。年間690億円投じるも、東京23区内交換追いつかず」というニュースを見た。
 東京都の下水道管は、現在耐用年数を超えている管が1600kmあり、毎年200kmずつ増えていくが、平均で年間90kmしか交換・改修が進んでいない。
 そうした中、下水道管の損傷が原因で起きた道路陥没が毎年1300件発生しているそうだ。
 交換・改修できない管が今後どんどん増えていく。
 既に東京都の下水道は、2020年代の未来図を現していることになる。

 さらに松谷氏は、「人口が減ると、『通勤地獄が解消され、電車の車内で新聞を拡げて読めるようになり、生活にゆとりが生まれる』等の論調もあるが、それは絶対ない。電車に乗る人が減れば1時間に走る本数が減り、車両も両数が減る。そしてその次は廃線です」

 連休中に、図書館で2冊の本を借りた。
 松谷氏が言っていたとおりだった。
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 「人口減少 日本経済・金融・社会はこうなる!」は楽観論、「人口減少 新しい日本をつくる」は悲観論だ。
 前書では「電車の車内で新聞を広げて読める!」、後書では「ゆとり通勤どころか廃線に」が項目のタイトルだ。
 現在の状況を考えれば、バラ色の未来を描くことはできないと私は思う。

 松谷氏も言っていた。「人口減少社会では、公共事業を始め、土地の利用の仕方、まちづくりの進め方の基本的な考え方を変える必要がある。私権制限に今以上に踏み込まなくてならない」

 現在、多くの自治体で土木施設や公共建築物の「長寿命化」が大きなテーマになっている。
 しかしこの研修では、さらにその先(と言ってもわずか10数年先)にある「厳しい社会」を示され、かなり落ち込んで帰ってきた。

by koike473 | 2009-05-13 21:24 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

「老いる都市」とは?  その1

 ずいぶん前の話になるが、今日は4月21日(火)に会派で参加した研修の報告。に加え、それに触発されて連休中に(ザーッと)読んだ2冊の本を含めた話。
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 参加した研修は、「老いる都市の行方 ~社会資本と福祉の持続可能性を探る」だ。
 日経新聞社産業地域研究所が主催するもので、講師は政策研究大学院大学の松谷明彦教授だ。
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 松谷氏は、「老いる都市」を「2つの老齢化」という視点で説明した。
 1つは、人口の高齢化と人口減少だ。
 もう1つは、都市の基盤施設(道路、上下水道、建物等)であるハードウエアの高齢化だ。
 結論から言えば、人口が減少し老齢化した都市では、現在の社会的なサービス水準を保つのは非常に難しく、それは既に始まっている。

 今日は、人口の高齢化の話。
 「高齢化」。この言葉を聞かない日はないが、今後人口の高齢化を止めることはできず、また人口減少を止めることもできない。
 出生率が仮にアップしたとしても、出産年齢女性人口(25~39歳)が減少するので出生者数も減少する。
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 一方、団塊世代をはじめとする現在の中年層が続々と高齢者の仲間入りをするので、高齢者は大幅に増加する。しかし亡くなる人も増えるので、結果として人口は減少する。
 そしてその高齢化のスピードは世界の中でも日本は異常に速く、落ちない。

 こうした高齢化、人口減少の大きな要因は、人口構造的に日本だけが「人口の谷」=団塊世代と団塊ジュニア世代の2つのピークを形成しているからだと言う。
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 これは、昭和23年に制定された優生保護法により「人工中絶」が合法化されたからだ。
 戦後の食糧難で、日本人全体が餓えている時にこれ以上人口は増やせなかった。他の国ではベビーブームは戦後10~15年間続いたが、日本では3年(=団塊世代)で終了していることからも明らかだ。
 この頃、統計はないが年間100万例ほどが中絶されていたらしい。

 では、今後の高齢化が最も顕著なのは「どこか」と言うと「首都圏」だ。
 高度成長期に流入した団塊世代以降の世代が、今後続々と高齢化する。
 今後25年の県別の人口を推計すると、人口減少の幅が最も大きいのが秋田県で約30%の減少、そうした中でも東京都の総人口は減らない。
 しかし、高齢化のスピードは急激だ。20年で倍増、30年で3倍増となる。
 そうなると東京都の財政は急激に悪化する。
 さらに、現在は若年層が多いため高齢者施設(特別養護老人ホームなど)は非常に少ないが、今後その需要が急増する(今年3月、群馬県で東京都の生活保護を受けている高齢者の入居が多い老人福祉施設で火災があり、10名が亡くなったが、これはこうした動きの現われの一端と見ることができる)。
 東京は、財政を維持できるのだろうか?
 その時若者は、あまりの税金の高さに、東京を逃げ出すのではないだろうか?

 このような我が国の人口構造の変遷についての説明を聞くと、「おろかな戦争」の「後世代に与える悪影響の大きさ」に愕然とする。
 少子高齢化、人口減少のスパイラルに陥った一端、と言うより最大の要因が「戦争による国の混乱」であったことに。

 何だかひどく固い話ですが、続きは次回に。

by koike473 | 2009-05-07 23:52 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

新東名(第二東名)の建設が急ピッチで進んでいます!

 17日(金)は、所属する第2東名対策特別委員会で、大井川以西の新東名(第2東名)の建設状況を視察した。
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 島田市から浜松市にかけての2つの区間では、今年秋からの「試験走行」を行うために急ピッチで工事が進んでいる。
 早いところでは、車道部分で舗装工事を行うためのアスファルトの下のコンクリート打設が始まっている。
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 横方向の鉄筋を、このように60°の斜めの方向に組んで打設すると、コンクリートにクラック(ひび)が入りにくくなり、目地を施工する必要がなくなるため、最終的に舗装のデコボコが発生しにくくなるそうだ。
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 金谷トンネルの入口と内部。このトンネルは、新東名の中で最も長い(約5km)のトンネルだ。
 途中には、事故や災害時に避難できるよう、上下線をつなぐ横方向の連絡トンネルが数箇所設けられている。

 このような舗装路面やトンネルの仕上がり具合や使い勝手を「試験走行」によってチェックする。
 
 また、静岡県の西部方面は、土木工事を行う上では、非常に土質条件が悪いところとのことだ。
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 例えばこの大和田トンネルの上り区間は、当初トンネルの予定ではなかったそうだ。
 しかし、下り線部分の工事を行うに際し、土砂崩れ等が心配されるため、土砂を止める「杭」を打つと同時に、土砂を土砂で止める「押え盛土」を施工したために、その盛土の下を通る上り線区間がトンネル(ボックス?)になったそうだ。
 説明してくれた中日本高速道路㈱の副所長さんは、「山が動く」という表現をしていた。
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 これは宮ヶ島高架橋。通常だと、橋脚の上に道路幅と同じ幅の「桁」を渡して行くが、ここでは小さな幅(断面)の桁を渡し、車道が横に張り出した部分は、斜めの支柱(30cm×30cmの断面のコンクリート柱)で支えている。
 「○○工法?」と説明してくれたが、名前を忘れてしまった。
 これにより、高架橋の重さがずいぶん軽くなり、コスト縮減になっているそうだ。
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 わかりにくい写真だが、「森町パーキングエリア」上り線側から見た下り線パーキング。
 下の白い部分が本線。
 現東名で最も規模が大きい海老名サービスエリアの平地面積が5ha。この森町パーキングは、下り線が海老名を上回る6ha。上り線は何と9haになるそうだ。
 でも「パーキングエリア」ってのは、単にガソリンスタンドを併設するか、しないかの違いだけだそうだ。(森町パーキングにはスタンドはない)
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 天竜川高架橋。ゆるやかなS字カーブと、ほんの少しの上り下りの勾配(縦断勾配)。見事な橋梁景観として評価が高いようだ。

 最先端の土木技術の説明会のような視察だったが、新東名の開通は、すぐ間近に見えてきている。
 今後は、この新東名を富士市にどう活かしていくかが重要だ。

by koike473 | 2009-04-19 22:45 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)  

驚いた!天城温泉会館が営業休止

 昨日(3月31日)の静岡新聞の朝刊を開いて驚いた。
 「天城温泉会館、営業を休止」という記事が目に飛び込んだからだ。
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 天城温泉会館は、伊豆市営の日帰り温泉施設だ。
 伊豆市は、旧修善寺町、天城湯ヶ島町、中伊豆町、土肥町の4町が合併して平成16年に誕生した市で、この温泉会館は、旧天城湯ヶ島町が建設し平成8年にオープンした。

 私は、最初勤務した沼津市の設計会社で、この温泉会館建設の企画書づくりのチームに加わり、提案したことがあった。
 当時、天城湯ヶ島町には、伊豆半島で最初の日帰り温泉施設としてオープンした「湯の国会館」があった(この「湯の国会館」の企画書案も勤務していた会社で提出したが、落選していた)。
 平成になったばかりのこの頃は、「湯の国会館」は、いつ行っても大変混んでいた。
 「これじゃあ、まだ行ける」というつもりで、天城湯ヶ島町では、第二の施設として「天城温泉会館」を考えたのだと思う。
 私が関係した企画は結局採用されなかったが、会館が完成したオープン当時は「すばらしい施設だ」と驚いた記憶がある。

 総工費26億円をかけたその温泉会館が13年で休止とは!
 入館者数は、当初の3~4年は年間10万人近く入っていたが、その後は坂を転げ落ちるように減り続け、20年度は2月末までで3万2千人余と、ピーク時の1/3にまで落ち込んだ。

 新聞には、「民間の類似施設や旅館の日帰り入浴サービスが増えた」、また「燃料代高騰や施設老朽化などの要因も重なった」とある。
 伊豆市のホームページを見ると、市内には官民、あるいは昔ながらの共同湯もあわせ、19もの日帰り温泉施設がある。
 よそ者の分際で意見を言うのは申し訳ないが、こうなると市としても複数の同様の温泉施設を運営していくのは限界に達していたことが伺える。
 「行政の守備範囲」、「民間活力の導入」、「合併に伴う公営企業、公共施設の再編」、「公共施設の寿命」等、富士市に置き換えても考えることが多い年度末のニュースだった。

 遅くなりましたが、今日から4月です。
 晴れて暖かくなったり、急にヒョウが降って寒くなったりの変な天気の1日でしたが、晴れ間に、我が家の「庭の春」を撮影しました。
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ハナモモが満開です
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残ってしまったミズナは、ナノハナをつけました
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生垣のレッドロビン(ベニカナメモチの仲間)は、この1週間ほどで急に赤い芽が伸びました
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チューリップももう少しです

by koike473 | 2009-04-01 22:18 | 公共施設マネジメント | Trackback | Comments(0)