2013年 06月 04日 ( 1 )

 

まだまだ復興には時間がかかる 陸前高田市に伺って

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 今日は、先週会派で視察した陸前高田市の状況についての報告。
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 陸前高田市は、岩手県の南端に位置し、2年前の東日本大震災で大きな被害を受けた。
 市人口24,246人中、震災(津波)での死亡1,735人、その後の病死、事故死、行方不明者等493人、計2,228人と、市人口の約1割の方が死亡・行方不明となった。
 また、標高約3mの市街地を、15mの津波が襲い、全8,000戸中、3,159戸が全壊、209戸が大規模半壊等となった。

 市では現在、「陸前高田市震災復興計画」に基づき、平成23~25年度を「復興基盤期」、26~30年度を「復興展開期」として復興に取り組み始めている。
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 大半が津波で流出してしまった市街地(高田・今泉地区)は、沿岸部は新たな防潮堤を中心とした「高田松原・防災メモリアル公園」とする一方、市街地は津波の浸水を免れるように盛土(かさ上げ)により高さを確保することを基本に、山側にシフトした新しいコンパクトな市街地の形成を目指している。
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 旧市街地エリアの宅地は、評価額の7~7.5割で買収する計画だが、地権者が死亡したり、相続人が確定できないなどで、なかなか進捗していない。
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 現在「供託」制度を活用した(地権者、相続人が確定できないので買収予定金額を法務局に供託して、買収作業を進める)事業方法を検討している。

 また市役所、地元建設業者も被災し、復興事業・工事を地元だけで進めることができないため、CM方式(コンストラクション・マネジメント方式)を採用している。
 これは、CMR(コンストラクション・マネージャー)と呼ばれる企業に工事の調査・設計・施工方法等のマネジメント一式を委託契約し進めるやり方だ。
 CMRは大手ゼネコンが担当し、自治体とCMRの間の調整はUR都市機構(独立行政法人都市再生機構:旧都市基盤整備公団と旧地域振興整備公団で構成)が行っている。
 当然、工事そのものも大手ゼネコンが受注することになるが、その下請けは地元の業者を活用することが契約に組み込まれているようだ。

 陸前高田市の一般会計予算は、通常100~110億円だが、本年度は国の復興予算が投入され1,000億円超となっている。
 復興事業を進めるため、全国の自治体から現在84名の技師や用地担当者を派遣してもらっているが、前述した用地確認等の遅れもあり計画通りには進んでいない。
 特に旧市街地部は、部分的に用地がまとまったエリアに盛土が行われ、「このあたりはここまでかさ上げすることになる」ことを市民に伝え、合意を図っている段階であり、「まだまだこれから」の感が強い。
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 一方山側では、5戸以上がまとまって集団移転する「防災集団移転促進事業」が市内32団地、計484戸分で計画がまとまり、一部で工事が始まっている。
 説明を受けた仮設の市役所に隣接するエリアも、「高田西地区」として9.69haの造成工事が進んでいた。
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 また、浸水したエリアではあるが、山側の比較的高い場所には仮設の商店街「陸前高田 未来商店街」がオープンし、商店、飲食店、銀行等が営業を始めている。
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 2日目に伺った石巻市、名取市等もそうだが、津波の被害を受けた市街地の整備はどこもほとんど目に見える復興に手がついていない状況だ。
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 市全体の将来構想は描けても、個々の用地の権利関係の確認や買収が進んでいないことが大きいようだ。

 震災に限らず、どの自治体でも区画整理や買収方式の公共事業に時間がかかるのは、こうした用地確保だ。そうした中では、多額の復興予算が手当てされても、それを消化しきれない面もある。
 それを進めるためにCM方式が注目されているとのことだ。この方式について勉強しなければならないと感じた。

 対応いただいた陸前高田市の議会事務局長さんの2つの言葉が印象に残った。
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 「どんなに立派な構造物も信用しない方がいい。引き波でガレキとともに全てをなぎ倒してしまう。とにかく早く逃げることです」
 「電気、電話が通じない中では無線機は必需品です。震災後、当市では消防団員全員(約700名)に無線機を貸与しました」
 情報が途絶えた中では、いかに早く避難することを呼びかけ、誘導できる体制を作っておくことの重要性を感じた。

by koike473 | 2013-06-04 07:31 | 防災 | Trackback | Comments(0)