2009年 04月 03日 ( 1 )

 

TMO全国第一号 ㈱まちづくり三鷹

 今日は、3月26日(木)に視察に行った「㈱まちづくり三鷹」の報告。

 視察のテーマは、「TMOがリードするSOHOとまちづくり」だ。
 三鷹の取り組みを知るには、三鷹市の「背景」と言うか、「特徴」を把握しなければわからない。
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 三鷹市は、東京特別区(23区)の西側に隣接する市だ。杉並区、世田谷区等に接している。
 第二次大戦以前は、飛行機会社等の軍需工場が立地する「工業都市」だったが、戦後は「ベッドタウン」として発展してきた(平成20年現在の人口は178千人)。
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 こうした過程の中で、生産ラインを有する企業は市外に移転し、現在の用途地域(=市街化区域)における住居系用途地域の割合は89.8%、また戸建住宅等が大半を占める第1種低層住居専用地域が64.4%と、どちらも非常に高い。
 ちなみに富士市のそれは、61.9%、11.4%だ。
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 またこうした土地の利用や都市の性格を反映して、市税収入の46%を個人市民税が占めている。
 ちなみに「産業都市」富士市のそれは32%だ。
 また同様に高い割合を示す固定資産税も、住民の皆さんの住居にかかっている税金が大半だ。

 こうしたことから、他市以上に「市の経営は、市民一人ひとりの税金によって成り立っている」という意識が高く、昔から市民の自治意識が高い「物申す市民」が多い自治体だったとのことだ。

 一方、少子高齢化が進む中で、こうした「ベッドタウン」は、今後リタイアする人の増加に伴う税収減は確実で、都市としての経営基盤が危ぶまれている。
 また、駅前の商業エリアについても、吉祥寺、立川に大きな商業核があるため、テナントの撤退が目立っていた。

 そうした危機感の中で生まれてきたのが「SOHO」によるまちづくりだ。
 「SOHO」は、「スモールオフィス、ホームオフィス」の頭文字で、「独立した小規模事業者及び個人事業者、在宅、副業型ワーカー」を指す。 業務でインターネットなどIT、デジタル情報通信を積極的に活用する「時間と場所に制限されない新しいワークスタイル」とされる。

 三鷹市のSOHOへの取り組みは、全国的にも最も早い時期に取り組み始め、平成10年にTMO「㈱まちづくり三鷹」(第3セクター方式)が設立され、それが加速された。
 ㈱まちづくり三鷹は、平成10年に制定された中心市街地活性化法に基づくTMOの全国第1号であり、当時はSOHOを「都市型新産業」と呼んでいたそうだ。
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 まちづくり三鷹では、地域振興整備公団(当時)による建物建設の誘導(三鷹産業プラザ)や、市内事業者から寄付を受けた従業員寮の改修により、SOHO事務所が入居するための受け皿となる施設整備をリードした。
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 またソフト支援策としては、コーディネターによる税務や財務相談、地元信用金庫と連携した無担保融資などを行ってきた。
 この結果、平成10年からこれまで約120社が入居し、ほぼ全社が現在も三鷹市内で営業しているそうだ。
 現在では、駅前の空きビルにも事務所が入り、SOHO事業者が市内で約500人働いている。その家賃等による経済波及効果が年4億円。これには飲食等は入っていないが、駅前に居酒屋等の新規開店が進んでいることから、一定規模の効果があると考えられる。

 以上が概要だが、私には、2つの点で印象に残ったことがある。
 1つは、「インキュベーション」(新たな創業・起業)をサポートしているのではないということだ。
 入居希望者は、相当数の応募があるようだが、これまでの実績や財務内容を審査し、「これは」という確実な事業者を受け入れている。
 全国各地のSOHO支援施設・機関は、どちらかと言うと、これから事業を始めたいというベンチャー系事業者の受入れ、相談、一定期間の入居が中心だと思う。
 昨年、富士市に開設した産業支援センター「f-Biz」も、インキュベーション施設はないものの、新たな起業、事業相談が中心だ。
 三鷹市は、ベッドタウンながらも、戦前の飛行機会社関連の機械設計企業の集積が長くあったことや、やはり都心に近く、営業しやすい、関連工場との連携も取りやすい(事務所で設計し、製造は中央線で西に向かった山梨県内に発注等)という立地の良さがあり、一定水準以上の確立した事業者が集まるのだろう。

 2つめは、こうしたSOHO立地の動きに併せて、さまざまなNPOやコミュニティビジネスが発生してきたことだ。
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 例えば、IT技術を有するシニア層の皆さんがその技術やノウハウを活用してコミュニティビジネスを始めたり、市民テレビ局を開設し番組制作に取り組んでおられる。
 これらは、当初想定していなかったようだが、SOHOをきっかけに続々と「地域の人材資源」が活動を始めたということだ。
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 現在は、まちづくり三鷹が入る産業プラザ内には、NPOのためのレンタルデスクルームがある。そしてその運営をNPOシニアSOHO普及サロン・三鷹が担っている。
 富士市にも、県や市等が運営する支援センター(産業、市民活動等)がいくつか存在する。
 産業構造や人口の集積度合いは異なるものの、富士市においても、それらの連携、あるいは再編も視野に入れたバックアップ体制の必要性を感じた視察だった。

by koike473 | 2009-04-03 00:56 | 産業振興・雇用 | Trackback | Comments(0)