地域通貨「彦(げん)」を活用した彦根市の協働のまちづくり

 少し時間が経ってしまったが、8月末に所属する会派で行った視察の報告。

 まずは、彦根市(滋賀県)の「美しいひこね創造活動」と地域通貨「彦(げん)」の取り組みについてだ。
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 彦根市は、幕末に「桜田門外の変」で暗殺された大老・井伊直弼で有名な井伊家が街を造り、長く治めた城下町だ。
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市役所応接室から見る彦根城の天守閣
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 彦根城をシンボルに駅前から市役所、お城に至るまちなみや通り沿いは、とても風格を感じる街だ。

 私は、視察に行く前から、この「美しいひこね創造活動」と地域通貨「彦(げん)」の取り組みに大変興味を持っていた。
 と言うのは、今年2月議会の一般質問で、「歩いた歩数・距離によって、その地域のまちづくりの支援を行う『富士市版ウォーキングマイレージ』に取り組むべきでは?」と質問した。
 一方、インターネットで事前に拝見する限り、彦根市のこの取り組みは、私の提案に似ている部分があるが、かなり先を行く先駆的な取り組みだと感じていたからだ。

 この取り組みは、現市長が選挙公約で提案したもので、大きく分けて2つの取り組みで構成されている。

 1つは、市民による「美しい行為」への取り組みだ。
 これは、彦根のまちを美しく、元気にするための活動=「美しい行為」に、市民一人ひとりが取り組もうというものだ。
 「美しい行為」は、以下の5つの活動を指す。
 A:まちの美観を保つ活動
   →道路を清掃する、ゴミを拾う、公園などの草取りをする等
 B:地域安全活動
   →防災・防犯パトロールをする、カーブミラーを清掃する等
 C:助け合い活動
   →近所のお年寄りを病院に送迎する、乳幼児のお世話をする等
 D:地域環境活動
   →通勤・通学手段を自転車やバスに変更する、資源回収をする等
 E:健康増進活動
   →ウォーキング、ジョギングをする(限定)
 そして、この「美しい行為」を、どれでもいいので1週間に15分以上行い、それを自分で活動報告書に記録しましょうというものだ。
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活動報告書の見本


 2つめは、「地域通貨『彦』の交付・流通」だ。
 「美しい行為」を行った人は、1年間の活動量に応じて、地域通貨「彦」を市から受け取ることができる。
 ちなみに、1日15分以上の活動が「1単位」であり、それは「25彦」に相当する。
 年間100日「美しい行為」を行えば、25彦×100日=2500彦が交付される。
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 この「彦」は、以下の3つの場面で使うことができる。
 1 市内で自由に流通する
  ・人に何か良いことをしてもらった時に、「感謝の気持ち」として「彦」を渡す
  ・地域通貨協力店で、「商品10%割引」、「食事後の飲み物サービス」、「粗品進呈」などの特典やサービスを受けられる

 2 市の施設の使用料・手数料の支払いに使う
  ・市営駐車場、駐輪場の料金支払い、住民票や印鑑証明などの手数料支払いに、「1彦=1円」として使える

 3 市民団体に寄付する
  ・あらかじめ市に登録してある自治会、老人会、子ども会、NPO、ボランティア団体などに、「1彦=1円」で寄付する

というしくみだ。

 この「美しい行為」と「地域通貨 彦」の取り組みの目的は、「市民が協働して、市民の力で美しい彦根を創り、市民の交流・助け合い、市の活性化を図ろう」というものだ。

 平成18年度から取り組み(「彦」の交付・流通は18年度の活動報告を受け、19年度から)、2年4ヶ月が経過した。
 この間の「美しいひこね創造活動」参加登録者は、約3,700人。彦根市の人口は約11万人なので、3.3%の市民の皆さんの参加だ。
 説明した市の担当課は、「まだまだ参加者が少ない。また、「美しい行為」による成果も目に見えては現れていない」と言っていた。
 このような途中結果には、「成果がはっきりしないのに、(「彦」の原資等に)税金を使い取り組む意義があるのか?」と言う意見もあるかもしれない。
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 しかし私は、以下の2点から、税金を使って取り組むに値する事業だと思った。
  ・現段階では、「美しい行為」は、制度化される以前から活動していた人が参加登録するケースが多く、成果が際立って目に見えないのは当然。それよりこれをきっかけに、今後、これまで参加していなかった人達に、「美しい行為」の活動が広がることが期待できる
  ・税金を使っているが、それが美観、安心・安全、環境に配慮したまちづくり、市民同士の助け合い、交流推進、市民活動の活発化など、「さまざまなまちづくりの場面での『後押し』」になり、単発の効果で終わらない
と考える。

 「美しい行為」を行った結果の報告は、自主申告だ。
 場合によっては、「うそ」を記入しても誰もわからない。市の担当者は、「『性善説』の考え方に立った取り組みです」と言っていた。
 私が2月議会で質問した「ウォーキングマイレージ」も、歩いた歩数や距離を自己申告し、それを地区ごとに集計し、その歩数等に応じ、地区に「まちづくり助成金」を交付するというものだ。
 この時、市当局からは「自己申告では平等性に欠けるので、取り組みはなかなか難しいのでは」との意見を聞いた。
 しかし、実際、彦根市は「性善説に基づく自己申告」を前提に取り組んでいる。

 行政と市民との協働に取り組むには、さまざまな議論や理屈もあるが、まずは、このような「信頼」の姿勢をお互いに持ち、一歩一歩始めなければならないと改めて感じた。
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テーブルの上には、富士市と彦根市の市の旗のミニチュアが。おもてなしを感じる瞬間だ。

by koike473 | 2008-09-10 22:19 | NPO・市民活動 | Trackback | Comments(0)  

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