入居から45年 どう「住み継ぐか」に取組む「高蔵寺ニュータウン」

にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 富士情報へ
にほんブログ村

 今日は、先週視察した「高蔵寺ニュータウン」(愛知県春日井市)の話。

 視察報告書を基に書いたので、長文ですが良かったら読んで下さい。

 高蔵寺ニュータウンは、JR中央本線で名古屋駅から約30分(高蔵寺駅)にある大きな「住宅団地」だ。
f0141310_7335334.jpg

f0141310_73476.jpg

 高度経済成長が始まった昭和35年に計画が決まり、面積700haの丘陵地を土地区画整理事業により開発した(写真はUR都市機構HPから)。
f0141310_7342145.jpg

 多摩(東京)、千里(大阪)と並ぶ日本のニュータウンのさきがけだ。

 昭和43年から入居が始まり、平成7年のピーク時には人口52,000人まで増加した。

 昭和から平成にかけての時期は、「あこがれの高蔵寺」として何倍もの抽選を通った方々、それも名古屋に通勤する高学歴、高収入の皆さんが入居したニュータウンだそうだ。

 しかしこの20年、春日井市全体の人口は増加・横ばいなのに対し、ニュータウンの人口は減少の一途で、現在の人口は45,000人弱にまで減っている

f0141310_735315.jpg

 春日井市では、大別して以下の6つの課題を指摘していた。
f0141310_7353933.jpg

 (1)急激な人口減少
  ・人口は平成7年をピークに減少が続いている
  ・一方で世帯数は増加が続き、単身高齢者世帯の増加が目立つ
f0141310_7371443.jpg

  ・団地・戸建別に見ると、戸建地区では人口は横ばいだが、団地地区の減少が顕著である(団地地区のみで減少?)

 (2)少子高齢化の進行
  ・「少子高齢化」が顕著で、高齢者(65歳以上)人口の割合は、平成20年に市全体を上回った
  ・最初に入居が始まった藤山台地区の高齢化率は、現在は40%を超えている
  ・子ども(15歳未満)人口の割合は、既に平成12年に市全体を下回っていた
  ・小学校の統廃合が現実のものとなっている(2校とも老朽化したため、統合して新小学校を建設中)
  ・つまり、昭和40~50年代に住宅を取得した当時30~40歳代の家族が、子どもが育ち、家を離れる一方、世帯主がそのまま高齢化しつつある

 (3)土地の流通促進
  ・人口減少に伴い、空き家、空き地の増加が目立っている

 (4)インフラの老朽化
  ・建設から45年以上が経過し、道路、上下水道、UR(公団)集合住宅等のインフラの老朽化対策が急務となっている
f0141310_7363982.jpg


 (5)きめ細やかな交通システムの確立
  ・丘陵地を開発したためニュータウン内は坂が多く、高齢者等の移動には制約が大きい
  ・巡回バス等の細やかな交通システムが必要

 (6)サブセンターの衰退
  ・商業ゾーンの中心であるセンター地区はアピタ、ジャンボエンチョー、トイザラス等の物販店を始めとする様々なサービス機能が集積し、利用されている
  ・一方で、計7つの各地区に配置されているサブセンターのスーパーマーケットが老人施設やNPOの事務所になるなど、機能が変容しつつある


 ニュータウン再生への取組みとしては、「春日井市行政」と「ニュータウンに住む住民の皆さん」の取組みに大別される。
 (1)春日井市の取組み
  ・23年にセンター地区に、市民活動団体の活動拠点となる「東部ほっとステーション」を開設した(市民活動支援)
  ・25年度より、企画政策課に「ニュータウン対策担当」を配置し、ニュータウン内の地区別の居住形態や家族構成、空き家、空き地等の基本的な実態調査を開始した
  ・同時に25年度から服部敦中部大学教授を市政アドバイザーに委嘱し、住民との対話(「まち語りサロン」)の開催や、国交省、URとの連携に関する提言を受けている
  ・26年4月に「高蔵寺ニュータウン住宅流通促進協議会」を設置し、空き家・空き地の流通促進を図るしくみを構築しようと取り組んでいる
f0141310_7382360.jpg


 (2)住民側の取組み
  ・危機感を持った住民が、数年前から、さまざまなNPOや市民団体を立上げ、「住み継ぐことができるまちづくり」をテーマに活動を行っている
  ・写真はNPO高蔵寺ニュータウン再生市民会議(同会議のHPから引用)
f0141310_7405752.jpg

f0141310_7411432.jpg


 今回の視察は、富士市内の富士見台地区(富士見台団地)の人口減少と市営住宅の空き部屋の増加等が目立ち始めたことから、ニュータウンの先駆けとも言われる「高蔵寺」がどのような取組みを行っているのか?との考えで伺った。

 春日井市としての再生への本格的な取組みは平成25年度から始まったばかりだそうだが、居住形態別の家族構成や、空き家、空き地等の実態調査から取組んでおり、まだその全容が把握できていないとのことを聞くと、富士市でもそうした調査は早め早めに取組む必要を感じる。

 市のマイクロバスで現地を案内いただいたが、ニュータウン内は、広い道路、公園、計画的に配置された地区センター、サブセンター等が揃い、整備水準は高い。
 しかし一方で老朽化、空き家等も目立ち始めている。

広い道路
f0141310_742991.jpg

戸建住宅地区
f0141310_7432194.jpg
 
集合住宅地区
f0141310_7423652.jpg

空き地
f0141310_7425280.jpg

空き家
f0141310_7434567.jpg


 市全体として見た場合、対策をとらないでおくことは、以下の2つの観点から大きなマイナスだと感じた。
   ・活用されないストック…多大な投資を行い創り上げた「ニュータウン」が、わずか数十年で使われなくなるのは、非常にもったいない
   ・維持するためのコスト…人口減で税収は減る一方で、高齢化が進み民生費等の負担は増え、密度が減れば諸サービスのコストがかさむ

 幸いにも、高蔵寺の場合は、住民の中にリーダーとなるような方々が複数おり、早い段階から危機意識を持ってコミュニティの維持や助け合い、そして「住み継ぐ」しくみを構築しようと「市民活動」として取組んで来られている。
 また最近ではあるが、近くにある中部大学と連携した中で、「外からの空気・風」が入り、新しい考え、取組みも始まっている。

 富士市としては、規模は違うが富士見台団地等より約10年早く整備、入居、コミュニティの展開が進んだ「高蔵寺ニュータウン」の取組みに学ぶべき点が多数あると感じた。

by koike473 | 2014-09-05 07:48 | まちづくり・都市計画 | Trackback | Comments(0)  

トラックバックURL : http://koike473.exblog.jp/tb/22867843
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。

<< 彼岸花が顔を出し始めています ... 前年の「決算審査」を行う9月定... >>