岳南鉄道への公的支援補助金予算案に関する私の「賛成討論」

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 9月定例議会は、3日の午後から一般質問が始まり、計20人が登壇する。
 私は初日(3日)の2番目に行ったので、後は最終日(10日)まで他の議員の主張を聞く役だ。
 いろいろな考え方、主張の仕方があるものだと、納得したり、???だったり。

 今日は、議員になって初めて行った議案に関する本会議での「賛成討論」(3日午前)の原稿を載せます。
 市民の多くが関心を持ち、新聞紙上でも大きく取り上げられた「岳南鉄道への公的支援補助金補正予算案」に関する主張です。

 私は、補正予算案に賛成の立場からの討論です。
 長文ですが、お読みいただければ幸いです。


 「お許しをいただきましたので、私は、議第78号平成24年度富士市一般会計補正予算(第2号)について、賛成の立場で意見を申し上げます。

 今回の補正予算で大きな議論となったものは、8款5項都市計画費における「地方鉄道事業運営費補助金」でありますので、このことに絞って意見を申し上げます。

 いわゆる「岳南鉄道株式会社の存続に係る公的支援について」でありますが、市当局は、今回の支援の基本原則を「単なる赤字補填ではないこと」、「富士市にもたらされる社会的便益の対価として適切な関与であって、その算定根拠が明確であること」、「事業者としての効率性・サービスの向上が引き続き確保されること」とし、補助額の算定根拠となった富士市にもたらされる社会的便益の額については、さまざまな角度から考察し導き出されております。

 要約すると、鉄道に比べ代替バスを運行する方が「運行経費が節約され赤字は減る」ものと考えられますが、半数以上がクルマに流れる実例がある中、交通量の増加は、バス運行の阻害要因になるとともに実質的な時間のロスにつながります。当然環境面でも影響をこうむることとなります。
 また高齢者にとっては、運転能力が低下しているにもかかわらず、無理に運転せざるを得なくなることも想定され、交通事故については大変懸念がもたれ、それらを貨幣換算したものが今回の社会的便益です。
 またその他にも貨幣換算できない岳鉄の存在効果、波及効果を考慮すれば、社会的便益の算出と、それを基とした補助金の考え方は妥当であると考えます。

 更に委員会審査の中で明らかになりましたが、JRを除く市内の公共交通利用者のおおむね1/3、年間約74万人が岳南鉄道を利用しており、利用者一人当たりの公共負担は、今回の補助金を加えても他の路線バスなどに比べて相当低いものとなっております。

 やはり岳南鉄道は、富士市における社会基盤として、事業者の自助努力と行政の適切な関与によって存続すべきであると改めて考えるものであります。

 「先憂後楽」(せんゆうこうらく)を為政者の心得としてきた市長にとって、今回の補正予算は熟慮に熟慮を重ねての判断であったかと察するところでありますが、この補助金は2ヵ年の実績でその後を判断するということであります。
 この短い期間で劇的な経営環境の変化を求めることは、事業者にとっても大変な負担となることではありますが、税金が投入されることでありますので、今後の補助金支出の判断に当たっては、市民が納得できる資料の提出をお願いするものであります。

 アメリカのマイクロソフト社の創業者・ビル・ゲイツの言葉に以下のような発言があります。
 「私たちは、いつも次の2年間に何が起こるかを過大評価してしまう。そして、次の10年に何が起こるかを過小評価してしまう。無為にしていてはいけない。」
 この言葉は、私たちに先を見据える「眼」が必要であると同時に、静観して何もしないことを戒めております。

 今回、税金投入という行動にでるわけでありますので、事業者には一層の奮励努力をお願いするとともに、市当局には確固たる富士市の将来像を見据えた上で、岳南鉄道を含めた公共交通全体のあるべき姿をわかりやすく提示し、また具現化することにより、後顧の憂いのないよう対応に当たっていただきたいと思います。
 また議会としましても、こうした取組み、判断をしっかりと検証、審査していきたいと思います。

 以上申し上げ、議第78号の賛成討論といたします。」


 私の主張のポイントは、最後の段落に込めたつもりだ。
 岳南鉄道は、今後とも富士市の都市構造、そしてその骨格となる公共交通を構成する重要な路線だ。
 それを活かし、市全体の公共交通網をどう再編・構築していくかという視点からの議論・計画・実行が不可欠だ。
 事業者、行政、市民、そして議会の力が問われている。

by koike473 | 2012-10-05 07:34 | 公共交通・自転車 | Trackback | Comments(0)  

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