21年度国土交通白書とコンパクトシティ
2010年 07月 21日
新聞記事が目を引き、国交省のHPで見てみた。
「人口減少を踏まえた社会の再構築」(第Ⅰ部 第2章 第1節)という項目に詳しく説明されている。
視点は大きく2つだ。
1つは「都市的地域の分散的拡大」の問題だ。
まちの中心部が衰退する一方で、新たなインフラ整備に関する財政負担が増える。環境への負荷が増大する。
だから「都市を集約し、人々がある程度集まって住むようになると、公共施設やインフラの新たな整備にかかる負担が軽減されたり、自動車の利用が控えられ環境負荷が軽減されたりする効果が期待される」。
つまり、言葉には出していないが「コンパクトシティ」の必要性を述べている。
そして2つ目。こちらは私が読むには「コンパクトシティ化しなければならない一番の理由」だ。
それが「高齢期に入る社会資本」だ。
以前、何度かこのブログでも書いたが、これまでに高度成長期から整備してきた道路や橋、下水道などの社会資本が老朽化し、今後はその維持管理修繕費が急激に増加していく。
今年の白書では、そのことを改めて取り上げている。
計算の前提は以下の2つだ。
1 これからの社会資本整備投資額が2009年度と同じとする
2 維持管理をこれまでと同じやり方で行なうとする
すると、現在の施設の更新(造り直し)費用がどんどん増加し、27年後には維持管理・更新費用が総投資額を上回る。
つまり、その段階で新しい道路や下水道は新設は全くできないばかりか、古くなったからと言って造り直しも徐々にできなくなる。
これが拡散してきた都市、つまり新しいインフラ整備を際限なく造り続けるのではなく、再投資しないエリアも考慮に入れながら、より集約した都市づくりを進めていかなければならない最大の理由だ。
拡大のそもそもの前提である「人口増加」が、180度反対の「人口減少」に変わっている。
「人口減少」の影響を、改めてしっかり議論する必要を感じる。
今から舵を切って、数十年かけてコンパクトシティ化を進め、やっと間に合うかどうかという感じではないだろうか?
by koike473 | 2010-07-21 22:42 | まちづくり・都市計画 | Trackback | Comments(0)